平成20年5月15日(木)都内,星陵会館において開催されました第18回ダム工学会通常総会の終了後、同会場において、第18回ダム工学会特別講演会が開催され、多数の参加者を得てご好評のうちに終了しました。
今回の特別講演会は、東京大学生産技術研究所 教授 小長井一男氏を講師としてお招きし、『地震断層と社会基盤施設』〜ダム・トンネル事例を中心として〜と題して、地震による社会基盤への影響(特に土砂流出による二次被害)や蓄積された地震被災事例等の活用への取り組みについて、ご講演頂きました。
講 演 風 景
ご講演の主な内容は以下のとおりです。
1. 揺れと地盤変形
地震による構造物への被害は、地震発生により構造物が先に揺れ、続いて変形が生じることを1999年に発生した集集時地震(台湾)によるシーカンダム、包頭山高架橋の事例に基づく説明。その中で、高架橋の基礎杭の調査では、上部に橋脚がある杭は杭頭部にクラックが集中し、ない杭は地中部にクラックが多いことなど興味深いお話がありました。
2. 長期にわたる変形
活断層二に起因した地震により発生した土砂崩壊が、長期にわたり影響を与え、交通網の整備等に支障を与えているsatellte市の事例等に基づく説明。
3. 液状化した地盤も
2007年に発生した能登半島地震による被害調査で、液状化による引張域に倒壊した家屋が多く発生し、その個所が今でも変形が続いている事例に基づく説明。
4. 長期にわたる地盤変形
活褶曲地帯では、地盤変形が長期にわたり継続していることを、新潟-神戸高歪速度帯の事例に基づき説明。
5. 土砂流出
地震発生による土石流等の影響について、1847年の善光寺地震、1914年の中越地震によって発生した土石流、土砂流出の事例に基づき説明。
6. どうやって教訓を伝える
地震記録や調査のために実施したボーリングデータの膨大なデータを今後活用していくための国土交通省での取組みについての説明。
最後に、データアーカイブスの構築と公開が重要で、データを如何に活用するかが、課題と考えられ、例えば、中越地震での「滑った土砂を動かさない」などの教訓を復興に生かすなど、土木技術者の取組みが重要であり、今回の特別講演は非常に有意義な講演会でした。
おわりに、小長井先生は、5月12日に発生した中国四川省の地震(M=8.0)の対応にご多忙の中、御講演頂きまして、深く感謝致します。
なお、小長井先生の研究室のホームページのアドレスを下記に記載しました。
先生の研究内容をお知りになりたい方は、小長井先生の研究室のホームページアドレスを下記に記載しましたので、アクセスお願いします。
http://shake.iis.u-tokyo.ac.jp/home-new/index.html
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