研究発表会では、耐震3編、土木遺産登録への取り組み1編、計4編の発表が行われました。
発表論文の概要は、以下のとおりです。
1.「ダムの振動特性の可視化による時系列変化の分析の試み」
国土交通省 国土技術政策総合研究所 河川研究部 小堀 俊秀
ダム堤体の健全性を把握するための指標として、地震動観測記録や常時微動計測から得られる振動特性(固有振動数等)に着目し、その微小な変化を含めた把握を容易にするため、伝達関数の時系列変化を視覚化する手法について事例分析を通じて検討した。
2.「ダム門柱の耐震照査における3 次元ソリッドモデルの非線形動的解析手法の適用」
独立行政法人水資源機構 総合技術センター 佐藤 信光
レベル2地震動に対する詳細法によるダム門柱の耐震性能照査では、実耐力、実形状で耐震性を評価することが重要である。ここではダム門柱が有する課題に対処すべく、鉄筋コンクリートの損傷過程を再現できる3次元ソリッドモデルによる非線形動的解析をダム門柱の耐震性能照査に適用した。
3. 「アーチ式コンクリートダムにおける地震観測記録のNIOM解析」
埼玉大学理工学研究科 茂木 秀則
本研究はNOIM法を用いた地震波の伝播速度解析をコンクリートアーチダムの維持管理手法の一つとして展開することを目的に、矢木沢ダムにおける2011年3月までの地震波記録にNOIM法を適用して、堤体内のP波速度とS波速度の推移を検討した。
4. 「鳴子ダムの選奨土木遺産登録に向けた取り組み」
国般財団法人水源地環境センター 研究第一部 徳岡 昭治
平成28年9月に鳴子ダムが土木遺産に認定されたが、ここでは平成18年に策定された鳴子ダムの水源地ビジョンのフォローアップの一環として、鳴子ダムの土木遺産登録に向けた取り組みについて発表を行った。
発表論文は、今後のダム施工における、耐震解析の検討や土木遺産の保存に寄与するものと期待されます。
当日の研究発表に対して、優秀発表賞選考委員会が会場内で開催され、慎重な審査の結果、優秀発表賞として次の1編が選定され、優秀発表賞選考委員会 小長井委員長より賞状ならびに副賞が発表者に対して授与されました。
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