一般社団法人ダム工学会
 
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 行事報告

令和6年度
特別講演会の開催報告

ダム工学会学術研究発表会小委員会

 令和6年5月16日(木)に、星陵会館(東京都千代田区)において「令和6年度 ダム工学会 特別講演会」を開催しました。
 特別講演会は、令和2年度から昨年度までは、新型コロナウイルス感染症対策のため11月の研究発表会と同日の午後にオンラインで開催していましたが、今年度は令和元年度までのスタイルに戻して、通常総会後に集合形式で開催しました。参加者は77名でした。
 今回の講師は、九州大学大学院工学研究院環境社会部門の矢野真一郎教授にお願いしました。

 矢野教授は、沿岸域と河川を中心とした自然水域の水環境問題を主な研究分野とされ、流体力学的アプローチによる原因解明と問題解決のための技術開発や、生態学や分析化学などのアプローチを組み合わせた学際的な研究に取り組んでおられます。また、ダム工学会におかれては、評議員を務められるとともに九州地区連絡会会長としてご活躍されているところです。
  今回は、「九州地方のダムにおける異常洪水時防災操作の発生に対する気候変動影響評価」と題してご講演いただきました。

矢野教授による講演

『九州地方のダムにおける異常洪水時防災操作の発生に対する
気候変動影響評価』
九州大学大学院工学研究院環境社会部門 矢野真一郎教授

(講演内容)

1. 背景
 IPCC(2021)によれば、1850〜1900年を基準とすると、世界平均気温は2100年には+1.4〜+4.4℃上昇すると予測されている。
 また近年、大規模豪雨災害が多発している。九州地方は2017年以降の7年間で7回の水害を受け、2020年には下筌ダムで、2023年には寺内ダムで異常洪水時防災操作を実施した。

2.異常洪水時防災操作に対する気候変動影響評価事例
 研究のフローの例を図に示す(方法の詳細はダムにより異なる)。d4PDF(地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース)と流出モデルを用いて、現在気候と将来気候におけるダムへの流入量、ダム水位、放流量を計算した。



3.まとめ

 評価結果(確率)の一覧を表に示す。
 なお、本検討内容はd4PDF(20km)をベースにしている。今後、5kmの結果でも検討する必要がある。また、人為的な操作変更を含むダムオペレーションを完全にモデル化できているわけではないので、実際の安全度は本評価より高くなると思われる。


 

 今回の講演では、気候変動への適応という大きな課題における将来のダムの治水効果の評価について、近年豪雨が頻発する九州地方のダムをモデルとしたシミュレーション結果により具体的にお話しいただきました。ダム管理者やダムに関わる技術者、河川防災に関わる者にとって大変有意義な講演であったと思います。
 ご多忙な中、資料を準備し講演して頂いた矢野教授に深く感謝いたします。
特別講演会開催報告
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