ダム工学会の会長をしております入江でございます。
本日は、ダム工学会の20周年記念ということで、その20周年記念事業の一環としてシンポジウムを開催させていただきました。お忙しい中、皆様お集まりいただきましてありがとうございました。皆様、ご承知の通り、ダムは現在非常に厳しい風が吹いております。特に政府におきましては、できるだけダムに依らない治水計画ということで今見直しをしておりまして、再検証をするということになっているわけです。しかしながら、考えてみますとダム事業というのは従来から常に厳しい事業であったと思います。その都度、いろいろ知恵を出して克服して今までやってきた訳でありますので、今回の厳しい状況ではありますが、これについてもいろいろ知恵を出して克服して行っていただけるのでないかと期待しているところでございます。
ダム工学会としましては、今後、こういう状況であっても工学会的な活動をしていかないといけないと思っております。それにつきまして私の考え方としては、大きく二つの柱で今後考えていかなければならないと思っております。
一つめは、「ダムの有効活用」ということです。20年くらいになりますが、海外で会議にでますと、特に先進国では、ダムは今はマネージメントの時代だよと言われたものです。彼らの言うマネージメントは、インテグレイティッド
マネージメント、いわゆる日本語で言うと統合管理ですけど、日本語的に解釈するとダム群の最適管理みたいなものです。先進国もダムを作りづらくなっているのですから、今あるダムを最適に利用していこうというマネージメントが盛んに言われた訳です。そのとき私は、日本はまだ物が少ないからマネージメントの世界までなかなか行きませんよ。今は物を増やす時代なんですと説明してきました。しかし、今の時代は、やはり最適管理をしていくマネージメントの時代に入ってきているのではないかと思います。ダム群の有効活用、今あるダムを最適に使っていこうというような考えが必要ではないかと思います。そういうことに、ダム工学会としても取り組んで行かなければならないと思います。
もう一つは、国連の推定では2050年には、人口は90億になるそうです。21世紀は水の世紀になると言われております。世界的に水不足になるだろうと言われております。日本は、人口が減少していく社会ですが、世界は人口が増えていくので非常に水不足になっていくのだと思います。我々としましては、世界の水不足に対するいろんな世界貢献というのを今後していかなければならないと思います。そういうところにダム工学会としても力をいれていかなければならないと思います。
その他、いろいろ課題があるだろうと思いますが、ダム工学会としても今後のニーズに合った活動をしていきたいと思います。皆様方によろしくご指導の程お願い申し上げまして、最初の私の挨拶にさせていただきます。
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