二瀬ダムは埼玉県で最初に建設された多目的ダムで、昭和36年に完成しました。
利根川・渡良瀬川の堤防を破堤させ、死者100名を数える大惨事となった昭和22年9月のカスリーン台風(全国での死者・行方不明者 約2,000名)が建設の契機となりました。
洪水調節を行って荒川流域の洪水被害を軽減するとともに、荒川中流部へのかんがい用水供給、水力発電を目的としています。
ダムの型式は、貯水池の水圧を堤体のアーチ作用により地山に伝達して支える「アーチ式コンクリートダム」の一種である「重力アーチダム」と呼ばれる型式に分類されます。同型式のダムは日本には12基しかない比較的珍しい型式のダムですが、二瀬ダムは重力アーチダムでは日本第3位の高さを誇ります。
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■ダムの諸元等
位置:左岸
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埼玉県秩父市大滝字大久保
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右岸
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埼玉県秩父市大滝
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建設の目的
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洪水調節(ダム地点1,500m3/s→800m3/s)
かんがい(8,603ヘクタール)
水力発電(最大出力5,200 kW)
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ダムの型式
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アーチ式コンクリートダム(重力アーチダム)
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堤高・堤頂長・堤体積
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95m・288.5m・356,000m3
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流域面積・湛水面積
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170.0km2・0.76km2
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総貯水容量
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26,900,000m3
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ダム事業者
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国土交通省
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事業着手・竣工年
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昭和23年・昭和36年
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■建設の経緯
昭和23年
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埼玉県が調査を開始
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昭和25年
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荒川総合開発計画策定
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昭和27年
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建設省が実施調査を開
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昭和29年8月
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秩父市内に二瀬ダ工事事務所
(後に二瀬ダム工事事務所と改称)を開設
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昭和30年
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水没補償の大部分を解決
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昭和31年
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付替道路及び工事用道路の大部分を完了
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昭和32年10月
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本体掘削を開始
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昭和33年11月
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本体掘削を終了
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昭和33年12月
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本体コンクリート打設開始
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昭和35年11月
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一部中間湛水開始
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昭和36年1月
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本体コンクリート打設完了
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昭和36年12月
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二瀬ダム完成
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昭和37年5月
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秩父宮妃殿下によって「秩父湖」と命名
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昭和37年11月
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二瀬ダム管理所が開所
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平成元年3月
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貯水池堆砂を軽減するため貯砂ダムを設置
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【出典・参考文献&もっと知りたい!】
「二瀬ダムパンフレット」(二瀬ダム管理所)
「秩父の水、清冽!」(国土交通省関東地方整備局・埼玉県・(独)水資源機構)
二瀬ダム管理所HP http://www.ktr.mlit.go.jp/futase/
ダム便覧HPhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0637.htmll
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建設中の宮ヶ瀬ダム
宮ヶ瀬ダム全景
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