ダム工学会 活性化小委員会 東北ブロック事務局
東北ブロックでは、平成20年度東北地区現地見学会を下記のとおり平成20年11月5日に胆沢ダム工事現場で開催し、無事終了したので報告します。
見学会当日は、快晴な秋空の下で68名の参加による見学会となりました。
去る6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震による生々しい被災状況が残る中での、ダム堤体、洪水吐き、周辺構造物の見学を行いました。ダム建設中における大規模地震被災(震度6強)を受けたダム見学となったことから、貴重な見学会となりました。
まず、ダム左岸側天端から堤体盛立工事状況全体を俯瞰するとともに、工事進捗状況等について具体的な数字のもとで理解し易い説明を受けました。その後、付け替え国道橋梁アバットジョイント部の浮き上がり状況を視察し、地震エネルギーの大きさを実感しました。胆沢ダム上流には昭和28年に竣工した石淵ダム(コンクリートフェーシングダム)がありますが、周辺の斜面の崩壊は見られるもののダム堤体自体に大きな損傷がなかったことから、ダム構造物の安全性について確認できました。その後、胆沢ダム転流工呑み口部における斜面崩壊土砂の対応、減勢工コンクリートのクラックの発生状況を視察することで、今回の地震規模の大きさについて、改めて思い知らされました。
ダムサイト下流の『胆沢ダム学習館』では、胆沢ダム工事事務所佐々木所長より「胆沢ダムの事業概要と岩手・宮城内陸地震の記録について」と題して講演を頂き、地震による影響が堤体のごく一部に留まったことからダムの耐震性・安全性に関して確認できました。さらに、胆沢ダム堤体盛立工事JV品川所長より「ITを活用した胆沢ダムの施工及び品質管理」と題してGPS、ナビ等を活用したフィルダムの合理化施工システムについて紹介頂きました。
また、東北大学梅田准教授からは「ダム貯水池の水質管理−アオコの発生と環境要因−」という演題でご講演頂き、富栄養化の要因となる藻類と、浮力周波数を用いたダム水質管理に関して大変興味深いお話を頂きました。
ダム工事中に大規模な地震被災を受けたにも関わらず、その被災による工事中断を可能な限り小さくし、地震被災前の工事稼動状況に復帰されたことに対して、関係者の皆様のご努力に敬意を表しました。また、今回の見学会は東北大学から梅田先生、京谷先生、14名の学生の方にもご参加頂き、学官民の交流による情報交換、見学会の活性化を図ることができました。
最後に、今回の見学会に際して国土交通省東北地方整備局胆沢ダム工事事務所、胆沢ダム学習館および、堤体盛立工事:鹿島・清水・大本JV、洪水吐き打設工事:西松・佐藤・東急JVの皆様には、会場の準備や現地の案内をはじめ、多大なご協力を賜りました。
厚く御礼申し上げます。
1.開催期日:平成20年11月5日(水)日帰り
2.見学場所:国土交通省 東北地方整備局 胆沢ダム
3.講演会場:胆沢ダム学習館
4.参加人数:68名
大学 |
国交省 |
ゼネコン |
コンサル |
統計 |
16 |
14 |
20 |
18 |
68 |
5.見学会及び講演会の内容
項 目 |
時刻 |
内容 |
備考 |
講 演 会
胆沢ダム『学習館』
にて
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11:10
〜11:55 |
「胆沢ダムの事業概要と岩手・宮城内陸地震の記録について」 |
国土交通省
東北地方整備局
胆沢ダム工事事務所
佐々木 隆 所長
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現場見学
(胆沢ダム、
石淵ダム)
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12:30
〜14:40 |
学習館→左岸天端展望台→(付替え橋梁)→石淵ダム→転流工呑み口→減勢工→学習館 |
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講 演 会
胆沢ダム『学習館』にて
|
14:40
〜15:25 |
「ITを活用した胆沢ダムの施工及び品質管理」 |
胆沢ダム
堤体盛立工事JV
品川 敬 所長 |
15:30
〜16:15 |
「ダム貯水池の水質管理−アオコの発生と環境要因−」 |
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※本見学会は、土木学会認定CPDプログラム(4.8hr)です。
6.現地写真
左岸展望台より
洪水吐き減勢工 被災状況見学
転流工呑口部 被災状況見学
胆沢ダム工事事務所 佐々木所長からの講演
胆沢ダム盛立工事JV 品川所長からの講演
東北大学 梅田准教授からの講演
講演後、学習館にて集合写真
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