一般社団法人ダム工学会 企画運営委員会
活性化推進小委員会 中部・近畿地区幹事
平成26年度中部・近畿地区現場見学会及び講演会につきましては、京都大学で講演会を、また、天ヶ瀬ダム・喜撰山発電所で見学会を実施し無事終了しましたので、御報告致します。
今回の見学会・講習会の参加人数は、事務局を含め36名でしたが、例年に比較して、学生及び一般の方々に多く参加して頂きました。
参 加 人 員 |
大学関係
(教授) |
大学関係
(学生) |
公務員 |
会社員
(ゼネコン) |
2名 |
7名 |
8名 |
2名 |
会社員
(コンサル) |
会社員
(その他) |
その他 |
計 |
9名 |
4名 |
4名 |
36名 |
当日は、午前10時30分より、京都府宇治市にある京都大学防災研究所セミナー室で講演会を実施しました。淀川ダム統合管理事務所・森田所長の開会挨拶のあと、ダム技術センター・川崎首席から、「ダムの再開発技術」と題して、ダム資産の活用の意義、ダム再開発の必要性、ダム再開発の機能別分類と事例紹介等について御講演を頂きました。講演の後には、一般の参加者からの質問があるなど、活発な質疑が行われました。
その後、講演会会場で昼食を取りながら、天ヶ瀬ダム再開発事業の概要説明を受けた後、参加者は2台のマイクロバスに分乗し、天ヶ瀬ダムに向かいました。
天ヶ瀬ダム及び貯水池諸元 |
目的 |
洪水調節、水道用水、発電 |
流域面積 |
琵琶湖流域:3,848k㎡
(内湖面積674k㎡)
天ヶ瀬ダム流域:352k㎡
(琵琶湖流域を除く) |
型式 |
ドーム型
アーチ式コンクリートダム |
堤長
堤高 |
254m
73m |
放流設備 |
常用:3門
放流量:1,100㎥/s(能力)
非常用:4門
放流量:680㎥/s(能力) |
湛水面積 |
1.88k㎡ |
総貯水容量 |
26,280,000㎥ |
有効貯水容量 |
20,000,000㎥ |
竣工年 |
1964年 |
現場に向かう車中では、それぞれのバス内で、天ヶ瀬ダム再開発事業の工事状況や見学ルートについて、説明をして頂きました。見学者一行は、まず、本年竣工50周年を向かえる天ヶ瀬ダムの天端で、天ヶ瀬ダムの概要と天ヶ瀬ダム再開発事業で工事中のトンネル洪水吐き吐口部の状況について説明を受けました。その後、2班に分かれ、トンネル洪水吐きゲート室部と流入部を見学し、それぞれの工事の説明を受けました。ゲート室部では狭いヤードで効率よくトンネル掘削作業が進む状況を、また、流入部では仮桟橋からの鋼管矢板の施工状況など、ダム再開発事業における特徴的な工事状況を見学することができました。
トンネル式放流設備の諸元 |
目的 |
・宇治川
・淀川の洪水調節
・琵琶湖周辺の洪水防御
・京都府の水道用水の確保
・発電能力の増強 |
型式
構造
延長 |
トンネル式放流設備
内径10.3m
617m |
計画放流量 |
600㎥/s |
天ヶ瀬ダムの見学の後、関西電力の喜撰山発電所に向かいました。
喜撰山発電所は、天ヶ瀬ダムの貯水池を下部調整池とする揚水発電所で、上部調整池はロックフィルダムの喜撰山ダムとなります。喜撰山発電所は、普段、関係者しか入場できない施設であり、喜撰山ダムを初めて見た方も多く、満々と水を貯めた喜撰山ダムの雄志に感激されていました。ダム天端の案内板前でダム及び発電所の概要を、変電所では場内に展示されている日本最大級の揚水発電用ランナの説明を、また、地下発電所内では各種発電設備の説明を受け、見学会・講演会の全行程を終えました。
喜撰山発電所・ダム等諸元 |
ダム |
上部調整池(喜撰山ダム)
ロックフィルダム |
下部調整池(天ヶ瀬ダム)
アーチ式コンクリートダム |
流域面積 |
0.93k㎡ |
352k㎡(洗堰より下流) |
利用水深 |
26m |
9.90m(非洪水期)
3.40m(洪水期) |
有効貯水量 |
533万㎥ |
1,348万㎥(非洪水期)
380万㎥(洪水期) |
湛水面積 |
0.31k㎡ |
1.88k㎡ |
|
発電時(最大) |
揚水時(最大) |
使用水量 |
248.00㎥/s |
- |
取水量 |
- |
220.00㎥/s |
総落差 |
227.40m |
- |
実揚程 |
- |
227.40m(最大取水時)
91.50m |
発電力 |
466,000kw |
- |
揚水電力 |
- |
490,000kw |
見学会・講演会当日は晴天で温かく、絶好の見学会日和でした。周辺の木々も紅葉真っ盛りで、とても気持ちの良い見学会となりました。「ダム再開発」、「水力発電所」というタイムリーなテーマで、有意義な見学会・講演会が開催できたと思います。
今後もダムに係わる様々な興味深い施設に触れることのできる見学会・講演会を企画して参りたいと思います。
最後に、特に、京都大学防災研究所、国土交通省近畿地方整備局淀川ダム統合管理事務所・琵琶湖河川事務所、ダム技術センター、関西電力株式会社、大林組、鹿島建設、大成建設の関係各位には、ご多忙の中、会場の準備や現地の案内をはじめ、多大なご協力を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。
<平成26年度 中部・近畿地区現場見学会及び講演会の概要>
1.開催期日:平成26年11月18日(火) ※日帰り
2.見学場所:天ヶ瀬ダム、喜撰山発電所
3.講演会場:京都大学防災研究所セミナー室
4.見学会及び講演会の内容
時 刻 |
内 容 |
講演者・説明者 |
10:30
|
京都大学防災研究所セミナー室集合 |
|
10:30
~10:40 |
開会挨拶 |
淀川ダム統合管理事務所
森田宏所長 |
10:40
~11:30
|
講演会
「ダムの再開発技術」 |
ダム技術センター
川崎秀明首席 |
11:30
~12:10
|
昼食
「天ヶ瀬ダム
再開発事業について」 |
琵琶湖河川事務所
宇野孝一副所長 |
12:10
~12:50 |
移動(京都大学→天ヶ瀬ダム)
「天ヶ瀬ダム再開発事業 工事状況」 |
琵琶湖河川事務所
宇野副所長・辻野建設専門官 |
12:50
~13:30
|
天ヶ瀬ダム見学
トンネル洪水吐き吐口部見学 |
天ヶ瀬ダム 志鹿支所長
大林組 村上所長 |
13:40
~15:00
|
トンネル洪水吐きゲート室部見学
トンネル洪水吐き流入部見学 |
鹿島建設 山本所長
大成建設 中村所長 |
15:00
~15:15
|
移動(天ヶ瀬ダム→喜撰山発電所) |
|
15:15
~15:45
|
喜撰山ダム(上部調整池)
変電所見学 |
関西電力 長濱所長 |
16:00
~16:30 |
喜撰山発電所(地下発電所)見学 |
関西電力 長濱所長 |
16:30
~17:00
|
移動(喜撰山発電所→
JR宇治駅、京阪宇治駅) |
|
17:00
|
解散 |
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6.現地写真
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写真1 開会挨拶(淀川ダム統合管理事務所 森田宏所長)
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写真2 講演(ダム技術センター 川崎秀明首席)
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写真3 天ヶ瀬ダム再開発事業の説明
(琵琶湖河川事務所 宇野孝一副所長)
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写真4 天ヶ瀬ダム(全景)

写真5 天ヶ瀬ダム天端に集合した見学会参加者

写真6 天ヶ瀬ダム天端での説明状況

写真7 トンネル洪水吐きゲート室部見学所状況

写真8 トンネル洪水吐き流入部見学状況
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写真9 喜撰山ダム(全景)

写真10 喜撰山ダム説明状況
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写真11 喜撰山ダム集合写真(天端)
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写真12 喜撰山ダム集合写真(変電所)
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