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平成29年度 東北地区現場研修会 開催報告

          
一般社団法人ダム工学会 企画運営委員会
 活性化推進小委員会 東北地区幹事


東北ブロックでは、平成29年度東北地区現場見学会を、下記のとおり10月25日に最上小国川ダム(山形県)工事現場、鳴子ダム(国土交通省)にて開催し、無事終了しましたので報告致します。


 最上小国川ダムではまず現場JV事務所に立ち寄り、山形県最上小国川ダム工藤室長よりダム事業の必要性、現在の進捗状況につき説明して頂き、ダム施工現場に移動し現場見学を行いました。ダムサイトでは、まず始めに、ダム左岸上流天端付近に設けられた展望所から施工現場を一望し、現在の工事進捗状況を確認した後、ダム堤体下流面の打設面へ移動し、コンクリート打設の状況、施工機械等を見学しながらご説明頂きました。


 次に鳴子ダムにバス移動しました。途中、紅葉観光で有名な鳴子峡周辺で昼食をとった後で若干の紅葉散策を行いました。鳴子ダムは、下流側河道沿い工事用道路によりダム減勢池にアクセスし、そこで降車後鳴子ダム管理所土田所長よりダム概要、技術的特徴、現在の工事状況等につき説明を頂きました。その後、ダム天端に移動し天端よりダム下流側を眺望し、ダムのスケール感を肌で感じました。

現場見学を終え、仙台に向かう帰りの車中においては、参加者の学生より見学会の感想を発表していただいたところ、普段あまり見ることのないダム施工現場の状況につき興味深い感想を頂きました。本報文の後ろに、本見学会に出席した学生3名からの感想文を掲載します。

今回の現場見学会は総勢35名となり、多くの方々にご参加いただきました。特に山形県建設部河川砂防課最上小国川流水型ダム建設室、東北地方整備局鳴子ダム管理所、及び前田建設工業・飛島建設・大場組建設工事共同企業体の皆様には、ご多忙の中、現地案内をはじめ多大なご協力とご配慮を賜り、ここに厚く御礼申し上げます。



<平成29年度 東北地区現場見学会 概要>

1.開催期日:平成29年10月25日(水)日帰り

2.見学場所
山形県最上小国川ダム、

           
国土交通省 東北地方整備局 鳴子ダム

3.参加人数:35名

機関 国交省 県  大学
関係
建設
会社
コンサル
タント
個人  合計
人数  3 17 2  35


4.見学会行程

項 目 時 刻 内 容 備 考

集合
JR仙台駅西口 

9:00集合

9:15 発 
仙台駅東口を出て1F仙台駅東口バスプール   
バス移動  9:15〜11:30  ・最上小国川ダム関連資料配布   
最上小国ダム見学

11:30-12:30
約1.0時間

・現地状況説明、質疑応答 

・直接現地
・ヘルメット借用
・山形県、工事JV 

バス移動
昼食 

12:30〜14:15  ・昼食は車中弁当  昼食はバス車内
鳴子ダム見学 

14:15〜15:15約1.0時間

・現地状況説明、質疑応答 

・直接現地
・ヘルメット借用
・鳴子ダム管理所 

バス移動  15:15〜17:30  ・見学会の感想   
JR仙台駅  17:30  解散   



5.現地写真

 

最上:JV事務所で状況説明を受ける 最上:ダム天端左岸上流より眺望 
最上:減勢池内ダム右岸下流面  最上:減勢池内での集合写真 
鳴子:ダム下流河床よりダム眺望  鳴子:減勢池内で説明を受ける 
鳴子:集合写真  鳴子:土木学会選奨土木遺産案内板 

6.参加者からの感想文

(1)  その1

東北大学大学院工学研究科土木工学専攻
修士2年 稲葉紅子

このたび,ダム工学会東北支部主催のダム見学会に参加し,建設中の最上小国川ダムの施工現場ならびに10月に竣工60周年を迎えた鳴子ダムをそれぞれ見学する機会を得た.日頃,暇さえあれば近場の橋や堰堤の写真を撮りに行く程度に,私は土木構造物と称されるものが好きだが,ダムは特別だった.なぜなら,自動車という文明の利器を持たない自分にとって,山間部の奥地にあるダムは滅多にお目にかかれない秘境の土木構造物だったからである.
 はじめに,最上小国川ダムの現場見学の感想について述べる.当該ダムは,赤倉温泉を含む最上小国川沿川一帯の治水対策を目的とした流水型ダムである.これはダムの中では比較的小規模なものに分類されるそうだが,施工現場を目の当たりにすると,日々目にする構造物よりもはるかに大きなスケールだと感じた.このダムの建設にあたっては,清流域に位置することもあり,地域住民たちとの間で周辺環境への影響について様々な議論があったと聞いている.文書だけだったらこうした情報も読み流してしまったかもしれない.しかし,今回,実際に施工途中の現場をその目で見たことで,治水事業と環境保全の両立の重要性や留意点といったものを認識することができたと感じる.
 次に,鳴子ダムの感想について述べる.鳴子ダムは,鳴子峡付近に位置するアーチ式コンクリートダムで,堤高94.5m,堤頂長215mと前述の最上小国川ダムと比較するとかなり大きなダムである.先程の最上小国川ダムですらかなり大きな構造物だと感じたが,それを遥かに上回るスケールに圧倒された.だが,そのような圧倒的な大きさにもかかわらず,抑圧的な雰囲気は全く感じられなかった.60年もの間,風雨に晒されて生じたコンクリートの風合いがダム周囲の紅葉やダム湖と一体となり,自然と調和した景観を形成していたからである.鳴子ダムはちょうど10月に60周年を迎えたが,人間ならばちょうど還暦に相当する.世の荒波をくぐり抜けて,魅力ある人間へなってゆく過程に相通ずるものがあると感じたのは私だけだろうか……  以上,二つのダムについての感想を述べた.来年の春から,私は社会人として働き始めるが,どちらの見学においても自然を相手に仕事をすることの意味について深く考えさせられた.私の就職先は直接ダムや治水に関係する職場ではないが,土木に関わる職であり,自然を相手にする仕事という点では共通している.社会に出てからも,自分は自然を相手に仕事をしているのだという意識を忘れずに職務に邁進したいと思う.

(2)  その2

熊本県立球磨工業高等学校 鵜口 尚人

高校では、土木についての基礎的な学習や実習をしてきました。そしてダム周辺の環境対策やダムを建設するときの骨材についても一通り学習してきました。今回ダム建設がはじまるまでの過程で、周辺住民の方に理解していただくことや、生態系をこわさないために、あゆなどの通る水路を確保していることなど、一つのダムを作るのに様々な対応をしていることを知ることができました。
 実際に建設中の最上小国川ダムを見学した際に一番下の層を建設中でした。ダムを建設するときは、何層を重ねて作る事や、層ごとに骨材の配合を変えていることを知りました。
 建設現場へ骨材を提供することが仕事なので私たちの仕事の質がダムの完成度を左右すると思うと、やりがいのある仕事だと改めて実感できました。専門的な技術を習得して、質の高い骨材を提供できるよう勉強したいと思います。
 次に鳴子ダムを見学しました。これまで自分が見たことがある重力型ではなくアーチ型のダムでした。日本人がはじめて作ったアーチ型のダムで思っていた物よりも大きく歴史を感じることができました。そして治水・利水だけでなく観光資源にも役立っていてあらためてダムは素晴らしい建設物だと思いました。
 今回ダム見学会に参加する機会をいただきありがとうございました。これからもっと建設のことを知り技術を高めていきたいです。

(3)  その3

湘南工科大学 村上 颯汰

今回見学会に参加させていただいて、たくさんの事を勉強させていただきました。
 私はダムについての知識がなかったので、見学会の始めにいただいた資料の「コンクリートダムができるまで」はダムができるまでの工程を、段階を追って、説明があり、初心者の私にとっても理解できるものでした。ダムにもいくつかの種類があることも驚きでした。
 今までダムというものは一旦水をダムで止めて貯めるだけものだと思っていましたが、最上小国川ダムの説明で初めて流水型ダムというものがあることを知りました。そして現場で初めて建設途中のダムを見て歩いてきたところに水が流れると思うと完成後に興味がわき完成したらぜひ見に行きたいと感じました。
 次に行った鳴子ダムの所ではダムを真下から見上げるというとても貴重な経験をさせていただきました。下から見上げた鳴子ダムはダムの上から見るのとは比べ物にならないくらい壮大でした。
 今回の見学会ではとてもわかりやすい説明や普段見ることができない所を見せていただき、大変勉強になりました。このような貴重な体験をさせて頂き、感謝しています。


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