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活性化推進小委員会 行事報告

 
-with Dam☆Night in 多賀城 2017- 開催報告


活性化推進小委員会 東北地区 梅田 信
 


1.wDN in 多賀城の開催概要

  ダム工学会活性化推進小委員会東北ブロックでは,先月10月の現場見学会から間をおかず,with Dam☆Night in 多賀城 2017を,11月17日に宮城県多賀城市の多賀城市立図書館において開催しました。東北での開催は,昨年の仙台開催に引き続き,2回目となります。多賀城図書館での開催となったのは,共催者でもある土木学会東北支部の設立80周年行事として,同図書館で「どぼく+マンガ」展も開かれており,土木の魅力を伝える関連行事として,相互に盛り上げたいという意図からでした。

写真1 開演前の会場全景  写真2 講演中の会場と参加者 


2.開催内容と講演の紹介

1) 日時:平成29年11月17日(金)18:15~20:30
2) 会場:多賀城市立図書館(宮城県多賀城市,JR多賀
  城駅前)
3) プログラム

 総合司会 若生哲旺さん(東北放送元アナウンサー)
 ■開会の挨拶 ダム工学会 魚本健人会長
 ◆夜噺1「ダムパシャ 八ッ場ダムの建設現場を撮った!!」
     清水建設株式会社 久保田信弥さん
 ◆夜噺2「ダムと河川と市民参画 〜最上川舟運のまち 水を活かした取り組み〜」
    山形県長井市長 内谷重治さん

 ◆夜噺3「ダム,広がる興味」
     ダム愛好家 めんたつさん
 ◆夜噺4「白洲次郎を訪ねて」
     鹿島建設(株)・宮城大学客員教授 加納実さん
 ■閉会の挨拶 ダム工学会活性化推進小委員会 川﨑秀明委員長


4)参加者の状況
 本with Dam☆Night in 多賀城の会場は,写真1に見られるように,図書館内の常時は喫茶スペースとなっている吹き抜けのオープンスペースで行いました。そのため,通常の講堂のような会場に比べると,収容人数は大きくないものの,館内の一般のお客さんにも催し内容がアピールできる環境にありました。
 参加者は,当日の計数で50名程度(1,2名程度の途中出入りあり)でした。また,今回は図書館も共催での開催となり,ダム工学会での参加募集に加えて,図書館の行事としても募集が行われました。10名弱が,図書館側からの参加者であったようです。学会側で把握した参加者の内訳としては,「個人」として参加した方が半数弱,役所関係が4分の1,残りが学校,コンサル,建設会社で各1割ずつでした。年齢構成は,20代から60代まで比較的均質に分布しており,20代から40代と50代・60代で,ほぼ半々でした。

5) 講演内容
 今回,総合司会は,地元宮城県の放送局でアナウンサーとして長くご活躍された若生哲旺さんにお願いすることができました。プロの巧みな話は,開演前から早くも発揮されていました。まだ空席の目立つ開演約20分前の17時50分過ぎから,本会の開催趣旨などを楽しく紹介頂き(写真3),会場となった図書館内の一般の利用者の興味も惹きつけていました。
 開演には,東京よりご足労頂いた魚本ダム工学会長より開会挨拶を頂き(写真4),夜噺が始まりました。

写真3 司会の若生哲旺さん  写真4 魚本会長の開会挨拶 

【夜噺1】「ダムパシャ 八ッ場ダムの建設現場を撮った!! 」
                       久保田 信弥さん(写真5)

 講師の久保田さんが勤める清水建設が施工を担当している八ッ場ダムをテーマとして行われた,撮影イベント「ダムパシャ」の紹介を通して,ダムの建設現場の魅力を再確認していくお話でした。このイベントは,女性写真サークル「カメラガールズ」のメンバーのうち25名が,彼女たちの独自の視点で,八ッ場ダムの現場とその周辺の様々なシーンを撮影し,隠れた魅力を発見しようというものでした。ケーブルクレーンでつられ宙に浮く重機,現場でキリリと(かつ楽しそうに)働く職員の皆さん,あるいは若い女性ならではとも言える面白写真など,一般にはなかなか見る機会がないダム建設での撮影の様子が紹介されました。また現場だけではなく,周辺の観光スポットなどでの撮影も行われた様子も紹介されました。八ッ場ダムではインフラツーリズムにも力を入れており,また人気も高く,常に多くの来訪者があるということでした。

【夜噺2】「ダムと河川と市民参画〜最上川舟運のまち 水を活かした取り組み〜」,   内谷重治さん(写真6)

 地名の由来が「水が集まる場所」という長井市は,水質も素晴らしいところで,水道水は超軟水と言われるほど硬度が低く,お茶を入れればとてもおいしく飲め,また街中の河川や水路には,清流の証である梅花藻が繁茂しているという紹介から始まりました。かわまちづくりの取り組みとして「最上川フットパスながい」や,中心街と河川lの間を誘導する機能も期待して,道の駅「川のみなと長井」も造られました。長井ダムを活かした観光としては,ダム湖ツアー「ながい百秋湖ボートツーリング」が人気を集めており,現在は10人乗りゴムボートで行っていますが,津軽ダムでも稼働している水陸両用バスの導入も,今後検討を進めていくというお話でした。内谷市長が強調していたのは,外国人の誘致を積極的にはかりつつ,日本人にも長井市の魅力を再認識してもらいたいと希望しており,そこに長井ダムを大きく活用したいということでした。

写真5 久保田信弥さん  写真6 内谷重治さん 

【夜噺3】「ダム,広がる興味」,めんたつさん(写真7)

 450のダムを見学した,初めてのダムカードは石淵ダムなどの自己紹介から始まった話題提供は,以下の4項目でお話し頂きました。1)施設見学をしよう:立入禁止区域からしかダム自体が見えない,あるいは見に行けない場所(堤体直下)など,管理者の許可を得ないとできないダム見学の勧め。2)ダム便覧,未記載ダムを探せ:堤高15m前後の溜池を中心とした調査の話ですが,事前の文献調査から始まる,非常に綿密な調査には,聞いていて舌を巻きました。3)過去に計画のあったダムを知る:めんたつさん地元の丸森ダムから始まって,新月ダム,白石ダムと,宮城県内の計画のみで中止になってしまったダムの話。4)廃止間近だった一度は消えかけた自己水源:同じく地元に深く関わる施設として,「日本の近代土木遺産-現存する重要な土木構造物2800選」にも選定されている小田川水源地取水堰堤についての調査内容ですが,昭和9年に角田町(当時)初の浄水場の小田浄水場の取水堰として建設され,現在でも供用されているそうです。講演の最後は,「色々なダムの楽しみ方を見つけてみては」というメッセージで締めくくられました。

【夜噺4】「白洲次郎を訪ねて」,加納実さん(写真8)

 「ダムは初心者です」との自己紹介でしたが,実は昨年の仙台開催の際には,総合司会を担当して頂いていました。只見川・阿賀野川水系の東北電力の発電用ダムには,初代会長を務めた白洲次郎の揮毫の石碑があり(本名,上田,柳津,片門,上野尻の各ダム),それぞれの立地場所や記載内容について,加納さんの調査結果を基に,紹介頂きました。また,山形県の赤川水系月山ダムの上流の八久和ダムにも同じく白洲次郎の揮毫石碑があり,その踏査についても話して頂きました。ただし,ダムに到達するには,かなり険しい林道を通っていかなくてはならず,その様子を撮影したビデオも流されました。八久和ダムについては,講演冒頭で,「マニアならご存じの」という枕詞で紹介されていましたが,これに「うん,うん」と肯いている参加者の様子が,このイベントの性質を象徴していると感じました。

写真7 めんたつさん  写真8 加納実さん 

 閉会の挨拶は,活性化推進小委員会の川﨑委員長にお願いしました。すでにダム式万歳を凌駕して定番の座に着こうかという「Dam♥Love!」を,川﨑さん発声の元,参加者全員で決めて終会となりました。(写真9,10)

3.まとめ

 今回会場を提供頂いた多賀城市立図書館では,様々な催し物の会場として利用されているそうですが,終了後に担当の方からお話を伺ったところ,このwith Dam Nightのように,途中退出者の少ないイベントは珍しいと言われました。それだけコアで熱心な愛好者の集まるイベントを開催することができ,誇らしく嬉しい気持ちになりました。来年もまた第3回となるwDN開催を検討していますので,ご期待頂きたく存じます。
 最後に,会場を提供頂いた多賀城市立図書館(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)の皆様,司会をお引き受け頂き,完璧な話術で会を盛り上げて頂いた若生哲旺様,それぞれに興味深い話題でダムの魅力を示して頂いた四名の講演者の皆様など,関係する皆様には多大なご協力を頂きました。また,一般財団法人日本ダム協会,多賀城市および多賀城市教育委員会には,本イベントの後援をして頂きました。お礼申し上げます。

写真9 川﨑さんのDam♥Love!  写真10 会場全員でDam♥Love! 

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