一般社団法人ダム工学会
 
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行事紹介
 
行事報告

 

 

 

行事報告

 

ダム工学会若手の会
「第7回(令和2年度)ダムを知るための若手技術者勉強会」
開催報告

 
活性化推進小委員会

1.はじめに
 

 ダム工学会若手の会では、令和3年1月18日(月)にダムの魅力を知ってもらうため、土木工学を勉強している学生および若手技術者を対象に「第7回ダムを知るための若手技術者勉強会〜ダム事業で目指す!SDGs(持続的な開発目標)の達成〜」を開催しました。
 
 平年では実際にダムの現場に行き、見学を通してダムの知識を深めていただいておりますが、令和2年度は新型コロナウィルスの流行により、オンライン上での実施となりました。「第7回ダムを知るための若手技術者勉強会」では2015年の国連サミットにおいて採択されたSDGsをダム事業に絡め、SDGsの各ゴールに対してダム事業が貢献できることを、現場でダムの管理を行うダム管理者をはじめ、ダムの設計を行う建設コンサルタント、ダムの新技術に携わる研究者等幅広いジャンルの職種、かつダム業界の最前線で働いている若手の会実行委員の皆様より講演いただきました。また、「なんでも質問コーナー」を設け、今回の講演内容に縛られない、ダムについて疑問に思うところや、気になるところを広く質問いただきました。
 
 当日までの大学や企業、法人団体等からの参加登録者は72名を数え、大変有意義なものとなった若手技術者勉強会について以下に報告いたします。

勉強会実施状況



2.プログラム


 今回の若手技術者勉強会は下記のプログラムで開催しました。当日は、日本ダム協会の中野氏に司会進行を務めていただきました。




3.概要 

SDGsは、環境・社会・経済を対象とする17の目標(169のターゲット、200を超える指標)から構成される「誰一人取り残さない」よりよい社会の実現を目指すための持続可能な開発目標のことで、2015年の国連サミットにおいて採択されました。
  今回、ダム工学会若手の会では、SDGsの多くの目標が「土木・環境工学」と関連することに着目しました。そのなかでもダム工学会若手の会が専門とするダム事業に絡め、SDGsの各ゴールに対してダム事業が貢献できることについてオンライン講演というかたちでの勉強会を実施しました。
  テーマは、「水環境とダムの基礎知識」、「ダムで創り出す再生可能エネルギー」、「災害からダムで守る社会インフラ」、「ダム建設の新技術と資源の有効活用」の4つです。内容は、学生目線で理解しやすいよう、まず、ダムの基礎知識についてのご説明から入り、続いて、ダム事業におけるこれまでの実績と今後の可能性について、現場の最前線の技術の話題も盛り込みつつご紹介させていただきました。
  また、4つの講演の後には「何でも質問コーナー」の時間を設けて、参加者から自由に質問を受け付け、これに答えることでより理解を深めてもらうようなプログラムで実施しました。


テーマ1 水環境とダムの基礎知識

 プログラムの最初のテーマは「水環境とダムの基礎知識」です。まず、勉強会の大きなテーマであるSDGsとダム事業とのつながりについて、次に、ダムとは何かという基礎的な知識について講演いただきました。ここでは、小テーマとして「SDGsと水環境」について東京工業大学特任准教授の藤井氏から、「ダムの基礎知識と最新の施工技術紹介」をニュージェックの新家氏からご説明いただきました。講演の後半では、現在建設中の成瀬ダムの施工の様子について、参加者に映像を観ていただく時間があり、最先端のICT技術を駆使した現場の雰囲気を感じていただきました。


テーマ2 ダムで創り出す再生可能エネルギー

 2つめのテーマは、「ダムで作り出す再生可能エネルギー」です。ここでは、環境にやさしい再生可能エネルギーが求められるなかで、水力発電ダムにまつわる話題として「J-POWERの代表的な発電用大規模ダムの紹介」ということで、発電用大規模ダムの実績について電源開発の小林氏から、「完成後のダムの未利用エネルギーを活用した水力発電設備の設置」ということで、既存ダムに新たに水力発電の可能性を見出す事例について八千代エンジニヤリングの中野氏からご説明いただきました。


テーマ3 災害からダムで守る社会インフラ

 
3つ目のテーマは、「災害からダムで守る社会インフラ」です。自然災害のなかでも特に水に関連する洪水被害の防止軽減の観点でダムはどのように関わっているのか、今回は「水資源機構のダム管理について」同法人の中村氏にご説明いただきました。水資源機構の草木ダムでは、令和元年10月の台風第19号において、予備放流・事前放流というダム操作を行うことで貯水池の容量を確保し計画規模を上回る洪水に対して効果的に洪水調節を行った実績があり、この事例をご紹介しました。


テーマ4 「ダム建設の新技術と資源の有効活用」
 最後のテーマは、「ダム建設の新技術と資源の有効活用」です。「CSGの可能性 −資源の有効活用の観点から−」ということで、材料の合理化を特長とするCSGという日本発祥のダム技術について東京大学教授の石田氏からご講演いただきました。具体的には、CSGの強度発現のメカニズムについての研究や、火力発電で発生する石炭灰を細粒CSGとして有効利用に関する研究について、さらには震災がれきを利用した海岸防潮堤の事例についてご説明いただきました。


何でも質問コーナー

 講演の後に、自由に質問を受け付ける時間を設けました。質問としては、渇水の場合に水力発電の効率はどうなるのか、ダムを操作するにあたって住民への理解を深めるためにどのような取り組みをしているか、CSGに使える材料として他にどんなものがあるかなど複数の質問が寄せられました。お寄せられた質問については、行政・研究・施工現場等様々な観点から回答をさせていただきました。また、委員の視点からも質疑・応答することで議論が活発化するように進行しました。

勉強会の様子


4.おわりに

 プログラムの最後には、東京大学特任教授の川崎氏から勉強会の総括として、改めてダム事業によりSDGsを達成する可能性や産学官だけでなく一般市民も巻き込んで取り組んでいくことが重要であるとお言葉をいただきました。
 勉強会後に実施したアンケートでは、テーマ・講演内容について「大変良かった」、「良かった」と回答が多く寄せられ、勉強会を通してダムについて興味をもっていただけたのではないかと思います。 若手の会では、今後も現場見学の可能性を模索しつつ、今回のようなWebセミナーという方法も含めて勉強会を継続し、できるだけ多くの学生にダムについて興味を持っていただけるよう活動していきたいと考えております。
 最後になりますが、ご講演いただいた若手の会実行委員をはじめ、協力いただいた皆様に改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 
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