一般社団法人ダム工学会
 
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令和5年度 東北地区現場研修会 開催報告

          

 活性化推進小委員会 東北地区幹事


東北ブロックでは、10月30日に令和5年度ダム工学会東北地区現場研修会を現在、国土交通省東北地方整備局が秋田県雄勝郡東成瀬村に建設中の成瀬ダムにおいて開催しました。


 成瀬ダム建設工事は、今年度、ダム堤体工事の最盛期となることもあり、昨年に引き続きとはなりますが、要望し、実現した見学会でした。当日は、天候もよく、また、各工事JV様の円滑なアテンドのもと、問題なく現地見学を行うことができました。


 JR仙台駅東口で集合し、観光バスにて、東北自動車道、秋田自動車道を経由し、約3時間かけて現地に到着しました。今年度の行きのバス内では、㈱建設技術研究所の丹羽委員によるダム講習会を開催していただきました。資料説明に加え、基礎知識として、ダムとは堤高15m以上の構造と法律で決まっていること、ダムの安定検討には滑動・転倒・内部応力の3つが重要で、滑動安全率は、土木構造物の安全率の約3倍に値する4を使用しており、とても安全な構造であることも説明いただきました。学生にもわかりやすく、興味を持ちやすい内容でした。

現地見学に先立ち、成瀬ダム堤体工事の鹿島JV様の会議室にて、鹿島JVの統轄副所長である小倉様による工事概要説明を受けました。今年度はダム堤体工事が最盛期で、月間最大約28万㎥打設し、国内打設記録を大幅に更新したそうです。
 その後、事務所で昼食を済ませ、現地見学へ移動しました。

現地見学では、『KAJIMA DX LABO』、堤体工事、原石山工事、材料製造設備、CSG製造設備を見学させていただきました。
『KAJIMA DX LABO』では、タブレットにて完成ジオラマ、展示パネルのAR体験に加え、A4アクセル(自律運転)等の説明を頂きました。
LABO外の見学ステージでは、ダム堤体の現在の状況を確認しました。昨年度も参加した見学者からは、『1年間の堤体工事の目覚ましい進捗に圧倒される!』と、ダム工事の醍醐味を堪能したコメントを頂きました。

原石山工事、材料製造設備場所では、大成JV様の作業所長である緒方様より工事概要の説明を受けました。採取する岩石分類、材料の製造処理方法等の説明に加え、画像処理技術や集中制御技術等のICT技術の説明をしていただきました。
最新のDX技術の現場活用を見ることで、建設現場におけるトランスフォームを味わうことができました。
最後に昨年度は見学できなかったCSG製造設備を見学させていただきました。きめ細かなCSGの管理・技術の説明を頂きました。

今回の見学会では、将来を担う7名の学生の参加がありましたが、その中の2名からいただいた感想文を本報文の最後に掲載します。

今回の研修会は、25名の参加をいただき、無事終了することができました。

開催にあたりましては、国土交通省東北地方整備局成瀬ダム工事事務所および鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体、大成・佐藤・岩田地崎特定建設工事共同企業体の皆様には、ご多忙な最盛期のなか、説明や案内など多大なご協力とご配慮をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。



<令和5年度 東北地区現場研修会 概要>

1.開催日:令和5年10月30日(月) (日帰り)

2.場所
国土交通省東北地方整備局 成瀬ダム
        (秋田県雄勝郡東成瀬村椿川地内)


3.参加人数:25名

所属 大学関係(学生) 電気事業者 建設
会社
コンサル
タント
個人  合計
人数 4(7) 3 7 3 1 24


4.行程

項 目 時 刻 内 容 備 考

集合

7:30集合
7:45 発 

JR仙台駅東口1F
バスプール 
 
バス移動  7:45-11:15  丹羽委員による講義 ダム講習会資料配布
成瀬ダム堤体工事
鹿島JV様工事事務所

11:15-11:30

現場説明 

昼食

11:30-12:30
バス移動 

12:40-15:30


成瀬ダム現場見学

12:40-15:30
(約2時間50分)

DXLABO-堤体工事-原石山工事-材料製造

工事現場
バス移動

バス移動  16:00-19:20    
JR仙台駅  19:30  解散   


5.開催者 :一般社団法人ダム工学会 主催
        公益社団法人土木学会岩盤力学委員会 共催


6.継続教育(CPD):2.5単位(認定番号JSCE23-1011)

7.写真

 

鹿島JV様事務所での工事説明 KAJIMA DX LABO内での説明 
AR体験  KAJIMA DX LABO のデッキにおけるAR体験 
展望台より(下流側) 堤体工事の展望台にて
骨材製造における集中制御室にて 一般展望台にて(集合写真)

8.参加者による感想文

東北大学 大学院 小室 諒佑

今回の成瀬ダム現場見学会では、台形CSG工法や自動施工方法であるクアッドアクセルなど、土木の最先端技術を実際の現場で目の当たりにしました。業界誌などで知識としては持っていたものの、直接見学することで得られるものは非常に有意義なものでした。

  当日は、まずJV事務所で現状の工事進捗を、DXラボにて現在工事で扱っている技術の説明をお伺いしました。後者ではARを用いた現状と完成後の比較により、今後の進展を望むことが出来ました。続いて、現場の俯瞰や原石山、CSGの製造工程を見学させて頂きました。実際にどのように管理し施工しているか、効率性や合理性を高めるためどのように工夫しているかなど細かく解説頂きました。

  全体を通して一番印象に残ったのは、自動施工を実践したクアッドアクセルです。残念ながら実際の現場には近づけなかったものの、動画や資料による解説を頂き、土木業界の人口減少や働き方改革による問題を解決する技術であると、大きな期待を持ちました。実際、今回の見学会にはダム建設関連のみならず土木関連企業の方が多く来られていたようで、期待度の高い技術だと強く感じました。
           
  土木業界には多くの課題がありますが、様々な新技術の開発や導入が進んでいることから、将来は明るいと確信しました。今回得られた貴重な知見を、今後の研究活動や土木技術者として働く際に活かしていければと思います。

 最後になりましたが、貴重な現場見学会の場を設けて頂き、ありがとうございました。成瀬ダムが完成した暁には、再び訪れたいと思います。


●東北大学 研究生 菊地史佳

 今回、建設中の成瀬ダムの現場見学会に参加し、建設の進捗と使用されている最新鋭の技術に触れる貴重な機会を得ました。以前から講義などで建設の自動化技術は伺っており、実際の現場で携わっている方々から詳細な話を聞けたことは非常に有意義でした。

 現場内を移動しながら、各工程で使用されている施工技術を見学しました。CSG工法やICT施工など、さまざまな技術が導入されていますが、特に印象的だったのはクワッドアクセルとコンクリートの運搬方法です。『KAJIMA DX LABO』でDX技術を用いた自律運転システムである、クワッドアクセルについて詳しく説明を受けました。
無人運転による遠隔管理が、建設業界の人手不足の緩和に貢献するだけでなく、品質の安定性と効率向上にも寄与していることが分かりました。

また、CSGやコンクリートなどの連続大量運搬を実現するSP-TOMも興味深く、輸送に使用されるベルトコンベアの距離の長さに圧倒されました。原石山からコンクリートおよびCSG製造設備を経由してダム本体へ運搬される工程を一つずつ詳しく説明いただき、最後に展望台から見える整然とした動線は非常に印象的でした。

  成瀬ダムの建設に伴って新技術を積極的に採用し、建設業界の課題解決に貢献されていることを肌で感じました。地域が潤うだけでなく、新システムが広まり建設業界の発展にもつながるであろうダムの完成が楽しみです。

 この度は素晴らしい機会を提供いただき、誠にありがとうございます。今後も建設技術に対する興味と関心を深め、学び続けていきたいと思います。

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