1.はじめに
一般社団法人ダム工学会 若手の会では、「ダム工学会の活性化と若手技術者に向けたダム理解向上を目的として、今後を担う若手技術者や学生の方が参画することができる企画の立案・運営」を行っています。
令和5年度は、ダム建設から様々な角度での管理・活用について2回に分けて学ぶ企画としました。
第1回目となる「第8回 若手技術者のためのダム見学会」では、9月4日(月)から5日(火)にかけて、栃木県鹿沼市にある南摩ダムの建設現場、群馬県みどり市にある草木ダムの現場見学会を開催いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響により、宿泊を伴う企画は令和元年9月に実施されて以来4年ぶりとなりましたが、都内の2大学より17名の学生に参加いただきました。また、ダム見学会当日は、ダムを管理されている独立行政法人水資源機構(以降、ダム管理者)の皆様にご協力いただき、大変有意義なものとなりました。
本稿は、ダム見学会の開催内容について報告するものです。
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写真1 南摩ダム完成予想図 |
写真2 草木ダム |
2.行程
今回の若手技術者のためのダム見学会は、下記の行程で開催しました。
○1日目(9月4日(月))
時刻 |
内容 |
備考 |
8:45 |
JR池袋駅西口 |
集合 |
9:00 |
出発 |
貸切バスにて移動 |
11:30〜12:30 |
昼食 |
会場:まちの駅新・鹿沼宿 |
12:30 |
出発 |
貸切バスにて移動 |
13:00〜15:30 |
◆南摩ダム見学(2時間30分) |
思川開発建設所 |
15:45 |
出発 |
貸切バスにて移動 |
17:00 |
ホテル着 |
宿泊先:桐生グランドホテル |
17:15〜 |
◆「講座(インフラツーリズム)」
◆グループワーク (会議室:2時間00分) |
19:15〜21:00 |
夕食 |
○2日目(9月5日(火))
時刻 |
内容 |
備考 |
8:30〜10:00 |
朝食・チェックアウト |
宿泊先:桐生グランドホテル |
10:00〜11:30 |
◆グループワーク発表
(1 時間30 分) |
11:45 |
出発 |
貸切バスにて移動 |
12:25〜13:25 |
昼食 |
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13:25 |
出発 |
貸切バスにて移動 |
13:45〜15:15 |
◆草木ダム見学
(1 時間30 分) |
草木ダム管理所 |
15:30 |
出発 |
貸切バスにて移動 |
18:00 |
JR 池袋駅西口 |
到着、解散 |
3.南摩ダムの建設現場見学
思川開発建設所では、思川開発事業および南摩ダムの概要についてダム管理者様よりご説明いただきました。
その後、バスで南摩ダムの建設現場へ移動し、ダム管理者様にはダムを間近に見ながら工事の進捗状況や各施設の機能・特徴をご説明いただき、ダムに対する理解を深めることができました。
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写真3 説明状況(建設所内) |
写真4 説明状況(建設現場内) |
また、コンクリート製造設備をはじめとするダムの施工設備も見学しましたが、多くの学生はダムの施工設備を見るのは初めてであり、その規模の大きさに驚いていました。ダムの上流側に移動した際には、湛水前の貯水池内にそびえ立つ選択取水設備を見ることもでき、貴重な経験となりました。
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写真5 下流から望む南摩ダム |
写真6 選択取水設備 |
4.講座・グループワーク
南摩ダム建設現場の見学後、「インフラツーリズムの推進に向けてー“マニア市場”以外に向けたアプローチー」という題目で、株式会社JTB総合研究所執行役員地域交流共創部長の河野まゆ子様よりご講義をいただきました。
インフラとツーリズムを結びつけるその講義は、普段インフラに関わる仕事に携わっている若手の会委員らも新鮮な印象を受けるものでした。
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写真7 (株)JTB総合研究所 河野様 |
写真8 講義の様子 |
次に、講義いただいた内容を踏まえ、見学したばかりの南摩ダムを活用したインフラツーリズムについてグループワークを実施し、それぞれが考えたアイデアを発表し合いました。
南摩ダムを実際に間近で見たばかりの発表であったためか、ダム貯水池を利用したゴルフイベントや工事用設備を利用したアクティビティ等、どの発表も斬新なものばかりであり、学生達が熱意をもってグループワークに取り組んでくれたのが伝わってきました。また、学生達は日頃接点のない方々と交流することもでき、非常に有意義な時間となったのではないでしょうか。
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写真9 グループワークの様子 |
写真10 発表の様子 |
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写真11 発表ポスター |
写真12 食事会後にダム式万歳をしている様子 |
5.草木ダムの現場見学
草木ダム管理所では、草木ダムの概要についてダム管理者様よりご説明いただきました。参加者からの積極的な質問も出され、参加者のダムへの興味関心がこの2日間でより高まったことが感じられました。
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写真13 説明状況(管理所内) |
写真14 説明状況(監査廊内) |
また、天端道路より放流設備の一つであるクレストゲート(非常用洪水吐き)を間近で見学できたほか、堤体エレベータおよび監査廊を通りダム直下流へ行き、減勢工やダムの下流面を望むことができました。
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写真15 草木ダムクレストゲート |
写真16 下流から望む草木ダム |
6.おわりに
コロナ禍後、初の宿泊を伴う企画となりましたが、ご協力いただいた皆様や参加者のご協力もあり、無事企画を終えることができました。
若手の会では、今後もダムの最新の動向に着目し、ダム見学会や勉強会を開催しつつ、多くの皆様にダムについて興味を持っていただけるような活動を継続していきたいと考えております。
最後になりますが、今回ご協力いただいた独立行政法人水資源機構の職員の皆様をはじめ、株式会社JTB総合研究所の河野様、若手の会実行委員の皆様、今回、ご協力いただいた皆様に改めてお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
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写真17 草木ダム下流に集合 |
写真18 一日目懇親会後に撮影 |
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