一般社団法人ダム工学会
 
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活性化推進小委員会 行事報告

 

ダム工学会"with Dam☆Night"2018開催報告

           
川崎秀明(活性化小委員長 正会員 ダム技術センター)
         
北川正男(活性化小委員 正会員 日本ダム協会)

1.with Dam Nightの経緯

 「with Dam Night(ウィズダム・ナイト)」は、市民・ダムファン、技術者・研究者の交流を通してダムに関する科学的基礎知識や情報を社会に適切に伝え、さらには多くの方々がダム見学に出かけるための「ダムへの架け橋」になることを目指すものです。
 with Dam Nightは、ダム工学会20周年記念事業として開始されたのが最初ですが、その後、表1に示すように全国的な広がりを持って展開しています。
 今回報告は、通算28回目の開催となりますが、2018年度は、東京、東北、中部・近畿、中国・四国、九州の5地区で開催することを計画しています。各地区開催の詳細情報については、ダム工学会ホームページをチェックしていただければ幸いです。



 ダム工学会がダム関係の技術者・研究者以外の人との積極的な交流を目指した場作りを行うようになった背景に、ダムファン(本文ではダムマニア、ダム愛好家とほぼ同義で使用)の存在があります。「with Dam Night」自体も、近年の活躍著しいダムファンに敬意をもって接し、シャイな人が多い我々ダムエンジニアとの交流を求めて始まりました。with Dam Nightの最初は「ダム工学会20周年特別企画」の一つとして2010年10月末と11月末の四夜にわたって多くの観客を集めて開催されました。
 社会的に大きな反響を得たことから、その後は毎年開催されるようになっています。また、中部近畿、九州、北海道、中国・四国、東北と地域的な広がりを見せている状況です(表1参照)。ダム工学会として、地方に在住する会員に対してもダム工学会の行事に参加できるようにすることは大事なことです。
 このように普及してきたwith Dam Nightですが、その特徴は、「枠を超えた交流、ボランティア精神、楽しむ、学ぶ」ことであり、講演の内容もダムファンが個人として話すことに対応して、技術者もポストでなく個人の経験に基づいて話すというのがベースとなっています。

2.with Dam Night 2018の概要

 今回は、2015年以降続く月島社会教育会館において6月8日(金曜)に開催されましたが、テーマ“ダムツーリズム”にあるようにダムを訪れることの魅力を知ってもらうことを意図しました。
 当日プログラムですが、ダムツーリズムをダムファンと専門家の視点から様々な角度でもって語ってもらいました。
 参加人数は、150名(スタッフ込み)と例年並みでしたが、和気あいあいには程よい人数であり、ゆったりした会場は、前年同様にダムを楽しむという雰囲気が満ちていました。また、会場ロビーのサロン(飲み物 or 軽食付き)も講演前や休息時の専門家とダムファンの挨拶があちこち交わされ、ダムを楽しむ雰囲気を盛り上げていました。
 前回同様にインターネット中継も為されましたが、こちらの方もかなりの方がご覧になっていただいたようです。




写真1 受付の状況 写真2 会場の状況

3.各講演内容の紹介

 最初に開会の辞として、ダム工学会活性化小委員会委員長の川崎秀明から挨拶をした後に、中野さまのいつもの気配り満点の司会が始まりました(写真2)。
 開会後の会場の様子を以下に記します。


夜噺1.「うさぎの散歩~滋賀県のダム巡りの勧め~」 
                           ピンクのうさぎ 講師(写真3)
 滋賀県から来ていただいた若い女性講師です。最近、ダムマイスターとして活躍の場を広げられておられますが、今回は滋賀県内の様々なダムをほぼ全ての訪問経験をもとにご紹介いただきました。
 それぞれのダムの見方が新鮮で非常に面白かったです。特に、あちこち依頼してようやく国内でも稀な防衛省内にある治水目的の天川ダムの訪問に成功したものの「これが最初で最後に」と言われてしまったとの話に、会場は大笑いでした。

             
               写真3 ピンクのうさぎ 講師

夜噺2.「完成前からダムツーリズム~使うために賢くつくる~」 
                             舛田 直樹 講師(写真4)

 国土交通省の本省でダム建設の中心的役割を果たしているお一人ですが、with Dam Night への出演依頼に快諾いただきました。
 故郷である石川県の我谷ダムの話から始まり、地域活性化やダムツーリズムとのセットでダム建設を進めるべきだということで、いろいろな事例をご紹介いただきました。
 特に、「ボートレガッタのコースやサイクリング競技の国際規格コースは建設中に仕組んでおかないと実現できない」との尾原ダムでの具体的な話に、なるほどと得心しました。
 また、講演後に特別依頼で「ダム式万歳」を実演して頂きましたが、型に見事にはまって拍手喝采でした。

             
                 写真4 舛田 直樹 講師

夜噺3.「ラジコン飛行50 年、仙遊の眺め」      ダム仙人 講師(写真5)

 正体不明のダム仙人さんでしたが、ご本人が明かしましたように、実は建設業界ではプロ級のラジコン男で有名な安河内孝様です。
 話はラジコン飛行機を飛ばして空中写真を取り始めた沖縄でのきっかけから始まり、現在施工中のダムの着々と姿が変る様子、石積みダムの美しさなどを、会場の皆様も息をのむ迫力ある空中からの動画でもってご紹介いただきました。
 まさに、仙人が空から覗くような仙遊の眺めでした。話の最後は、ラジコンや最近のドローンによる空中撮影の難しさの話でしたが、機体損失という幾多の犠牲をもってもラジコン飛行にこだわる男のロマンを感じさせました。

             
                 写真5 ダム仙人 講師

夜噺4.「洪水吐きダムいろいろ」          箱石憲昭 講師(写真6)

 箱石講師は、ダムの水理設計のプロ中のプロです。今回はダムのファンの興味が高いながら実態が判りにくい洪水吐きについていろいろな観点から話をいただきました。
 なぜ洪水調節とは何か、クレストゲートでも様々な種類があること、コンジットゲートや流水型ダムの登場、ゲートレス化、堤趾導流壁等の話は、プロから聞くとなるほどと合点が行きます。
 最後は、「試験湛水を待たなくてもクレスト越流が見られますよ」ということで、土木の日(11 月18 日)近辺の土曜日に土木研究所の水理模型実験を見に行きましょう。

             
                 写真6 箱石 憲昭 講師

夜噺5.「ダムを見に行こう」             星野 夕陽 講師(写真7)

 星野夕陽講師は、近年の活躍著しい若手のダムマニアです。今回はお忙しい中見に行くべきダムを22 にグループ分けして挙げていただきました。
 下位から順に、「直轄、自治体、電力、一般企業の管理するダム」と始まり、「観光、融雪、点検」の放流タイミング、「溜池、近々改造されそうなダム、戦前のダム、竣工直後、イベント限定、渇水で水位低下、再開発中、建設中、試験湛水中、点検放流、試験湛水ゲート放流」と続き、第1 位は試験湛水放流(ゲートなし)でした。
 よくぞまあ、これだけ丁寧に分類し深く分析してもらったということで、ひとえに頭が下がります。ダムツーリズムのテーマを締めくくるにふさわしい講演でした。

             
                 写真7 星野 夕陽 講師

(ダム工学会からの挨拶) 田代民治 会長 

 最後に新会長の田代会長からの挨拶となりましたが、会長には、前土木学会会長であった土木学会総会の場から、中盤に入った頃に当会場に駆けつけて頂きました。
 田代会長の挨拶は心のこもったダムへの愛情あふれるもので、会場の皆様の心も暖かくなったところで、閉会となりました。

             
                 写真8 田代 民治 会長

4.まとめ

今年もwith Dam Night の会場には笑顔と和気藹々の雰囲気が満ちており、この楽しいひとときこそ
がwith Dam Night の真髄です。冒頭に書いたように、with Dam Night は、ダム工学会の定番イベント
として定着しつつありますが、活性化小委員会としては、今後も一般市民との最前線に立つダム工学会
イベントとしてwith Dam Night の一層の工夫を図りたいと考えています。
最後に、講師各位と団体各位(日本大ダム会議、日本ダム協会、ダム技術センター、建設コンサルタ
ンツ協会、電力土木技術協会、ダム工事総括管理技術者会等)のご協力に大いに感謝するとともに、各
種段取りを担当頂いたスタッフの皆様およびご支援頂いた関係各位に対して心からの謝意を表します。

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