“with Dam☆Night 2019”の東京開催の報告
川崎秀明(活性化小委員長、正会員 ダム技術センター)
木元敏徳(実行チーフ、正会員 三井住友建設㈱)
1.1.with Dam☆Nightの目的
「with Dam☆Night(ウィズダム・ナイト)」は、市民とダム技術者との交流を通してダムに関する知識や情報を社会に発信するとともにダム見学に出かけるための「ダムへの架け橋」になることを目指すものです。
2.“with Dam☆Night 2019
6月28日、中央区立月島社会教育会館において開催。テーマの「ダム礼賛」は、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」(いんえいらいさん;まだ電灯がなかった時代の今日と違った日本の美の感覚、生活と自然とが一体化し、真に風雅の心髄を知っていた日本人の芸術的な感性について論じた随筆)にあるように、「ある面を深く掘り下げてみたり普段気づかない観点から見たりしてダムの持つ多面的な意味合いを楽しむ」という意図です。また、「礼賛」には敬意を持って賛えると言う意味もあります。
表-1にプログラムを示します。楽しくて勉強になる5つの噺で会場は大いに沸きました。
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写真1 開始前の腹ごしらえで歓談の皆さん |
写真2 会場全景 |
3.各講演内容の紹介
最初に開会の挨拶として、ダム工学会 小長井副会長からのお話を頂きました(写真4)。
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写真3 動画中継の始まり |
写真4 小長井副会長の挨拶 |
夜噺1「ダムから始まる!ダムから広がる!学びの輪」
町田 奈桜 講師(写真5)
息子と娘さんの親子で500近いダムを回っておられるNOWさんです。
内容は、「ダムからいろいろなことを学べる」というダム工学会の我々も興味ある話題から始まり、子供の好きなダムという視点から大人と違う感性を知り、笑いながらもなるほどの連発でした。ちなみに、ダムとセットとなる地域名物があることを知って、会場の皆さん、ガッテン!
写真5 町田 奈桜 講師
夜噺2.「ダム陰翳礼賛 ~ダムの美学を追い求めて~」
竹林 征三 講師(写真6)
風土工学で有名な竹林先生ですが、今回はダムの事故や現状のダム技術の課題も含めた鋭い論評を多く頂きました。先生らしいユーモアに富むもので、会場は大笑いと苦笑いの連続でした。
最後は現在出演中のNHKラジオ「私の日本語辞典」の6月シリーズ「先人が遺した治水の名言に学ぶ」(計5回)からの話で非常にタイムリーな情報提供となりました
写真6 竹林 征三 講師
夜噺3.「ダムで辿る、埼玉の水害と湖底の故郷」
後藤 知美 講師(写真7)
後藤講師は昨年10月から11月に埼玉県立 歴史と民俗の博物館による企画展「ダムと変わる!わたしたちの暮らし」(開催期間 昨年10/20~12/2)の企画を担当されました。
企画展の主旨から始まり、利根川と荒川の洪水と埼玉県の関係、治水の歴史等について多く語られましたが、貴重な江戸時代からの収集資料と画像をもとに興味深く格調の高いご講演をして頂きました。
写真7 後藤 知美 講師
夜噺4.「プロ直伝!魅せる空撮ダム技法」
飯干 洋佑 講師(写真8)
オートバイで全国のダムを駆け巡る方で、名刺の肩書はダムライダーです。話は、ドローンのPhantom購入から始まり、全国のダムを巡ってのドローン撮影の技法をいろいろな角度から教えて頂きました。
話は、ドローンのPhantom購入から始まり、全国のダムを巡ってのドローン撮影の技法をいろいろな角度から教えて頂きました。ドローン実写の写真はいずれも息を呑む美しさで、会場は感動で溢れました。巨大なダムが空撮映像として一段と映えるのがよくわかりました。
写真8 飯干 洋佑 講師
夜噺5.「間近で迫力のあるダムナイトツアー~人はダムになぜ魅了させられるか~」
岩川 真一 講師(写真9)
横瀬川ダムは四国の南西端にある国内で最も東京から時間のかかる現場です。そこで行われたダムナイトツアーは面白さで評判を呼び、昨年度ダムアワードではイベント賞を受賞しました。
今回講演はこれを基にしたもので、ナイトツアーの秘話を多く語って頂き、会場は爆笑で何度も沸き返りました。それにしても、横瀬川ダムはとても複雑な造形ですが、困難な施工を克服して無事3月に打設を完了されました。岩川所長に礼賛を!
写真9 岩川 真一 講師
4.まとめ
観客数は83名でしたが、ダム技術者よりも市民のダムファンが多数を占める傾向であり、女性客も増加傾向です。開演前の軽食・飲食コーナーでは、昨年にも増して笑顔と和気藹々の再会を喜び合う雰囲気が満ちていました。
最後に、講師各位と後援団体各位(日本ダム協会、建設コンサルタンツ協会、ダム工事総括管理技術者会等)と事務局のダム技術センターの協力に大いに感謝するとともに、各種段取りを担当頂いた皆様およびご支援頂いた関係各位に対して心からの謝意を表します。また、今回も動画中継を担当されたタカネ様に感謝申し上げます。
写真10 熱心に聞き入る会場の様子
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