行事報告
ダム工学会主催の第17回ダム現地見学会は、平成11年10月13日、14日の2日間にわたって開催され、山住有巧応用地質鰹務取締役を団長とする総勢45名が参加して、東京電力叶_流川発電所の上部ダム工区、下部ダム工区、地下発電所を見学しました。
ダム現地見学会第二日目は、前日に続き晴天に恵まれました。宿舎を8:00頃出発して、南相木工事事務所に到着、上部ダムの概要について説明を受けた後、南相木工事事務所のマイクロバス2台に乗換、上部ダムに向かいました。上部ダム到着は10:30頃で、右岸展望台において、東京電力叶E員及びJV職員の方々から説明を聞きながら見学しました。
神流川発電所は、東京電力鰍フ9つ目の揚水式発電所となるそうです。上部ダムは長野県東部、信濃川水系南相木川最上流部に位置し、前日見学した群馬県南西部、利根川水系神流川最上流の下部ダムとは、約6kmの水路で結び、有効落差653mで最大使用水量510m3/sにて最大出力270万KWの発電を行うものです。ダム及び調整地の主要諸元は、以下のとおりです。
ダ ム 本 体
形 式 |
中央土質遮水壁型フィルダム |
堤 高 |
136.0m |
堤 頂 長 |
444.0m |
堤 体 積 |
7,220,000m3 |
上流側法勾配 |
1 : 2.7 |
下流側法勾配 |
1 : 2.0 |
調 整 地
流域面積 |
6.0 km2 |
湛水面積 |
0.59km2 |
総貯水量 |
18,360,000m3 |
有効貯水量 |
13,000,000m3 |
上部ダムについては、ダムサイトの地形、及び基礎岩盤の性状、並びに土質遮水壁材料をダムサイト近傍で採取できることから、中央土質遮水壁型フィルダム形式を採用しています。
平成11年7月に基礎掘削が完了し、現在は基礎処理工事の仮設備工事、洪水吐・通廊部岩盤清掃、堤体の盛立材を採取中で、進捗状況は30%程度とのことです。
盛立材のコア材料は、土石流堆積物を使用することになっていますが、全体的に含水比が高いことから混在岩のCL級材と混合することによって、所定の品質を確保し含水比を低下させて使用することになります。現在は、ダムサイト上流左岸側でコア材料の混合仮置きを実施しております。
施工可能期間は、EL1,500m以上の高標高に築造されることから、12月から翌年3月まで休止期間となり、8ヶ月/年となっています。
上部ダムサイトは、揚水発電所上部調整地としての受け皿分の貯水容量・落差が得られればよく、一般論としてのダムサイトの選定とは違うように思われます。
上部ダム湛水池全周には、対象流量0.44m3/s(10日流量に相当)の水廻し水路を設け、上部ダムの流域に降った雨は、極力湛水池に入れずに下流河川に自然流下させるように配慮されているようです。
今回、私は初めてのダム見学会への参加でしたが、発注、設計、施工に携わる方々との交流もできて、大変有意義な見学会でありました。
最後になりましたが、東京電力叶_流川発電所並びに各JVの関係者各位、山住有巧団長はじめ当見学会を企画案内頂いたダム工学会ダム現地見学会の幹事各位に深くお礼を申し上げます。
[日本工営梶@ 児玉順一]
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