一般社団法人ダム工学会
 
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第24回現地見学会 綱木川ダム見学記

 

 ダム工学会主催の弟24回ダム見学会の2日目、綱木川ダムについて報告します。

 昨晩の天気予報では山形県の各所で大雨洪水警報等が出ていましたが、見学会参加者41名の熱意が伝わったのか、朝には傘の必要ない小雨程度で、一同は綱木川ダムへと向かいました。

 綱木川ダムは米沢駅から車で1時間弱の最上川水系鬼面川支流である綱木川に山形県が建設中の多目的ダムです。型式は中央コア型ロックフィルダムで、平成6年12月に着工、平成11年7月に盛立開始、現在(平成15年6月末)の進捗率は約80%とのことです。

 

綱 木 川 ダ ム 諸 元

型 式 中央コア型ロックフィルダム
堤 高 74m
堤頂長 (フィル部)+(重力部)=367.5m
法面勾配 上流=1:3.0、下流=1:2.1
堤体積 2,154,000m3
洪水吐型式 自然調整方式三方向越流型
洪水吐コンクリート量 157,000m3
集水面積 40.5km2
総貯水量 9,550,000m3
有効貯水量 8,300,000m3

 


左岸天端より堤体・洪水吐を望む

 

 綱木川ダム共同企業体事務所で工事概要の説明を受けた後、左岸天端から現場全体を見学しました。雨は止みましたが、昨日の雨によりコアの盛立は残念ながら中止となり、上下流のロックのみの施工でしたが、このダムの特徴のひとつでもある堤体積に対して規模の大きな洪水吐(15.7万m3)が望めました。洪水吐は最下流部の施工を残すのみで今年の8月には完成予定だそうです。

 その後、原石山を経て堤体を見学しましたが、混合装置(MY−BOX)により分級骨材を混合して製造したフィルタ材は非常に粒度も良く、製造状況も是非見たかったです。

 最後にダムの下流側から、監査廊を見学しました。綱木川ダムの監査廊はプレキャスト埋設型枠を用いて施工されており、従来のセントル等による施工と違い、コンクリート面が非常にきれいで監査廊の中がすっきりとした印象を受けました。質疑応答の時間に受けた説明では、セントル解体作業などがないため安全であり、1サイクル(6m)の施工が、水平部で従来8.5日であったのが7日、斜路部で11日が9日程度に短縮できたとのことです。

 その他、質疑応答では、洪水吐のコンクリート打設に使用されていたタワーベルコンの説明があり、コンクリートの品質劣化防止についての質問に対しては、試験施工により、エア及びスランプの低下を予測して配合を決め、分離に対しては縦シュート部にMY−BOXを使用して防止していたとのことでした。説明を聞いて、タワーベルコンでの施工が既に終了していて、実際に見られないのを残念に思いました。

 綱木川ダムの下流面のリップラップの美しさには驚きました。非常に美しいダムになるであろう完成後のダムを是非見たい気持ちになりました。

 

ロック盛立状況

 

下流側より洪水吐・リップラップ面を望む

 

 今回、このダム見学会に初参加しての感想ですが、自分の今の現場だけでは決して得られない綱木川ダムでのいろいろな工夫を、惜しみなく丁寧に説明していただき、来た甲斐があったと感じました。あと、私事ではありますが、旧友と久しぶりに再会できたこと、他社の方々と親密になれたこと、土産に買って帰った米沢牛がうまかったことも成果です。

 最後になりましたが、今回の見学会でお世話になりました国土交通省、山形県、JVの関係各位、中村団長をはじめ現場見学会を企画していただいた現地見学会小委員会の皆様に深く御礼申しあげます。

[(株)大林組 坪倉正和]

 

 

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