一般社団法人ダム工学会
 
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滝沢ダム見学記

 

 ダム工学会主催の第25回ダム現地見学会が11月10日〜11日の2日間にわたり開催されました。今回見学した現場は,滝沢ダム(独立行政法人 水資源機構)及び琴川ダム(山梨県)の2カ所です。ここでは第1日目に見学を行った滝沢ダムについて報告致します。
 滝沢ダムは,埼玉県秩父郡大滝村の荒川水系中津川に建設中の多目的ダムで,堤高140m,堤頂長424m,堤体積約180万m3の重力式コンクリートダムです。見学時点では136万m3が打設済みであり,進捗状況は75%でした。
 滝沢ダム下流の道の駅にある大滝振興会館で工事概要の説明を受けた後,現場の見学を行いました。主な見学箇所は@ダム本体,A減勢工,B原石山でした。
 以下,この3箇所について報告致します。

@ダム本体(写真−1参照)
 ダム本体の打設は堤体下部〜中位はRCD工法(1リフト1m)で,冬期の施工及び上位標高部は拡張レヤ工法(ELCM,1リフト1.5m追跡2層)で行われています。
 コンクリート運搬設備はループ状に設置された1本のレール上を走行する5台のモノレール式循環バケット(4.5m3)と,3基の固定式ケーブルクレーン(13.5t)から構成されており,自動運転システムが取り入れられています。

 

写真-1 ダム全景(左岸より望む)

 

 写真−2 減勢工



 また,全天候型テント(写真−1右下)を設置し,天候に左右されない打設ならびに冬期における打設面の凍結を防ぐことを可能としています。このテントの設置により,12月〜2月の打設日数が計画では39日であったのに対し,実績では55日と大幅に増え,工期の短縮を図ることができています。
 ただし,当日はあいにくの悪天候という状況であったため,本体の打設が行われていなかったことが残念です。

 

A減勢工
 減勢工のコンクリート打設にはSP-TOMが用いられています。見学時点においては減勢工の打設は終了しており,SP-TOMは減勢工側壁の埋戻し材の運搬に用いられていました(写真−2参照)。
 前述の通り当日はあいにくの悪天候であったため,SP-TOMによる運搬状況を見ることができませんでしたが,材料輸送管の摩耗や運搬中の材料分離,夏期の日射によって輸送管が熱されない工夫などについて説明を受けました。

 

B原石山
 原石山はダムサイトから約1kmの地点にありますが,ダムサイトとの標高差が500mもあるため,立坑(φ4.7m×H192.6m)を設けて対応しています。(写真−3,4参照)
 原石山においては,立坑の閉塞に対して質問が集中しましたが,現在まで一度も閉塞したことはないそうです。

 

写真−3 原石山説明看板

 

写真−4 立坑(原石投入口)

 

  工事概要説明時に土捨場の緑化に対してはNPOとの協力,また,現地の小学生による植林作業等を行っており,地域に開かれたダムを目指す一環を垣間見ることができました。
  最後になりましたが,お忙しいところ懇切丁寧に説明していただいた独立行政法人水資源機構荒川ダム総合事務所ならびに滝沢ダム共同企業体の関係各位,また,このように貴重な見学会を企画していただいた現地見学会小委員会の皆様に深く御礼申し上げます。

[株式会社アイ・エヌ・エー 山田聡]

 

 

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