行事報告
ダム工学会主催の第26回ダム現地見学会が6月10日、11日にかけて開催されました。今回の現場は木之川内ダム(九州農政局)及び小丸川発電所(九州電力)の2ヶ所です。ここでは第1日目に見学した木之川内ダムについて報告します。
木之川内ダムは国営都城盆地農業水利事業の一環として、宮崎県北諸県郡山田町の大淀川水系木之川内川に九州農政局が建設中の灌漑用水の確保を目的としたダムです。型式は中心遮水型
ロックフィルダムで堤高64.3m、堤頂長409.7m、上流勾配1:2.7、下流勾配1:2.1、堤体積150万m3、総貯水量627万m3です。平成11年度に着工し、現在は平成16年7月の盛立開始に向け仕上げ掘削・岩盤清掃が行われていました。現在の進捗率は60%とのことです。
写真-1 左岸天端下流より右岸側を望む
基礎岩盤は四万十累層の堆積岩(砂岩、頁岩及び互層)で、コア材は右岸上流の土取場の強風化岩を単体で使用する計画です。強風化岩(コア材)は下にある風化岩を盛立材に使用するため、ほぼ全量が採取・仮置されていました。コア材はグリズリを通さなくてもDmax≦150mmを満足するそうです。転圧は16t級振動タンピングローラーで8回転圧とする予定だそうです。
フィルター材は購入砕石(C-40)を使用する計画です。またロック材は左岸下流の原石山から産出される安山岩を使用する計画です。河床下流部では一部先行盛立を実施していました。
現場が全体的になだらかだと感じたのは、この地方特有の「シラス・ボラ」という不安定土に拠るところが大きいと思われます。「シラス」は、比重が2.3〜2.5t/m3と通常の土粒子に比べ小さく、また、極めて侵食されやすい性質を持っています。「ボラ」は粒径1cm程度で角張った軽石状であり非常に緩い性状を示します。掘削勾配を緩くし、更に斜面崩壊対策を実施するなどかなり苦心されていました。
監査廊施工前にブランケットグラウチングを施工していました。リーク防止対策として仕上げ掘削50cmの上にカバーコンクリートを30cm打設していました。
また、監査廊は側壁脇を置換えコンクリートとし、底版部・置換部・頂版部の3回に分けて打設を行っていました。この断面は温度応力の発生が小さくなるそうです。さらに養生も工夫し細心の注意を払った施工がおこなわれていました。
洪水吐きは急流部・減勢工・下流取付水路が打設をほぼ完了し、上流取付水路・流入部を施工中でした。
写真-2 左岸コア敷
監査廊標準断面
(配布資料より引用)
最後になりましたが、お忙しいところ丁寧に説明していただいた都城盆地農業水利事業所ならびに木之川内ダム共同企業体の関係各位、また、このように貴重な見学会を企画していただいた現地見学会小委員会の皆様に深く御礼申し上げます。
( 鹿島建設(株) 福井 直之 )
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