ダム工学会主催の第 27 回ダム見学会が10月7日・8日に開催されました。これより2日目に見学した徳山ダムについて報告します。
揖斐川の流域では、過去昭和34年の伊勢湾台風、昭和51年、平成2年の大水害など、長年にわたり洪水に苦しめられてきました。徳山ダムは、これらの水害より流域47万人の生命・財産を守る他、中部圏における将来の水資源確保、及び発電を目的とした揖斐郡藤橋村に建設される多目的ダムです。
徳山ダムが完成すると、近年で計画高水位を超過した昭和50年及び平成14年の洪水でも計画高水流量以下にすることが可能となり、治水基準点での水位低下効果や浸水被害軽減の効果として揖斐川の治水安全度は1/70まで向上するそうです。
最初に見学した洪水吐では、シュート部における仕上げ掘削、およびスリッ
プフォーム・スライド型枠を使用したコンクリート打設を行っていました。現地
説明の際に私が感心したことは、コンクリートの弱材令管理が難しいスリップフォーム工法においてスライド部分のメタルフォームの拡幅などの工夫をしながら施工を行い、出来形及び品質確保を行っていることでした。
写真 -1
左岸より右岸を望む
次に見学した堤体本体では、盛土材の品質管理を自動現場透水試験システム、ロック材の真空減圧法による急速吸水を利用した比重・吸水率の迅速推定法(減圧法)、自動走査式RI密度水分計(SRID)など新しい試みによる品質管理の迅速化がはかられていました。また、上流側のフィルター材に周辺関連工事の掘削ズリを流用し、発生土の有効利用を行っていることや、コンクリートの骨材にダムの下流の横山ダムの貯水池内堆積砂礫の流用や、付
替え道路においては、明かりの道路からトンネル及び橋梁に変更するなどし
て、新たな周辺改変面積を出来るだけ少なくする工夫を行っていました。
場内の盛土材の積込運搬に90tの重ダンプトラックや大型ショベルなどをふんだんに使用し作業の効率化が行われていましたが、ダンプトラック用工事用道路と一般車用工事用道路を併設するなど安全面の確保もされていました。
さらに運搬車輌がどのような材料を運んでいるかを確認するため、ダンプトラック前面に確認用の色違いのランプが設置されているといった、品質面の配慮もなされていました。
最後になりましたが、ご多忙の中、現場説明をおこなっていただいた水資源機構徳山ダム建設所と、徳山ダム本体及び洪水吐き工事施工者両共同企業体の関係者の方々、今回の見学会のコーディネーターの播田団長と現地見学会事務局の方々に深くお礼申し上げます。
(飛島建設梶@河野 尚司)
|