これまでの盛立によって,予測変形量3cmに対し2cmの沈下が確認されているとの説明を伺った。また,連壁の上下流面と監査廊コンクリート間についても,上流側3cm,下流側5cmの空間にゴム系目地材を貼り付け,さらに耐震用ゴム製止水板を上流側面に2枚,下流側面に1枚配するなどの細部設計がなされていた。
3.コア敷保護工(砂礫層とコア材の接合部)
砂礫層を連壁のみで止水すると,連壁上部に等ポテンシャル線が集中することによるコアのパイピングや,砂礫層内の高速流による底部コアの洗い流しが懸念されるため,砂礫層とコア敷の境界部にコア敷保護工としてアスファルト遮水層が設けられている。アスファルト自体は,表面遮水壁型フィルダムの遮水層として我が国でもいくつかのダムで実績があり,忠別ダムでも遮水性,変形性にすぐれた止水材料として,既往のアスファルト遮水壁とほぼ同様の配合,構造のものが採用されている。特に今回の場合には,遮水層上部は堤体コア部から拘束を受ける条件下での採用であることから,遮水層下部のトランジション層や下部砂礫層の不等沈下に対する遮水層の変形追従性について関心を持った。
最後になりましたが,忠別ダムは,ダムサイトとして決して好条件とは言えない地質,水理特性を克服すべく,詳細な力学的,水理的検討に基づいた画期的な設計がなされていることが非常に印象に残りました。
今回の見学会に際し,大変お忙しいところをご説明,ご案内頂きました北海道開発局忠別ダム建設事業所,および忠別ダム共同企業体の関係各位,そして今回,見学会のコーディネータを務めて頂いた北條団長をはじめダム工学会現地見学小委員会の皆様に厚く御礼申し上げます
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