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行事報告
ダム工学会主催の第28回ダム現場見学会の第2日目に見学した留萌ダムについて報告いたします。
留萌ダムは、一級河川留萌川水系チバベリ川(河口より上流20q地点)に建設されている洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道水の補給を目的とした堤高41.2m、堤頂長440.0m、堤体積1,225千m3
の中央コア型ロックフィルダムです。
施設諸元は下記の通りです。
表−1 ダム諸元
型 式
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中央コア型ロックフィルダム
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堤 高
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41.2m
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堤 頂 長
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440.0m
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堤 体 積
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1,225千m3 |
堤 頂 標 高
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EL.52.2m
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集 水 面 積
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42.0q2 |
湛 水 面 積
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2.2q2 |
総 貯 水 容 量
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23,300千m3 |
有 効 貯 水 容 量
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21,800千m3 |
洪 水 調 節 容 量
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11,000千m3 |
利 水 容 量
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10,800千m3 |
利水放流管(水位低下機能兼用)
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φ
1,700o×1条 |
常用洪水吐き(自由越流堤)
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高さ
5.9m×幅 3.0m×1条 |
非常用洪水吐き(自由越流堤)
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高さ
3.0m×幅12.0m×4門
高さ
3.0m×幅 3.0m×1門 |
ダムサイトの地質は、第三紀鮮新世の微細粒〜細粒砂岩で、左右岸は10m以上の現河床堆積物に覆われています。これらは、地震時に液状化する可能性があるため除去することとし、堤体盛り立て材料に一部有効利用されています。また、原石山から発生するロック材として適さない廃棄岩は、@堤体内部へのトランジション材および上下流の埋め戻し材、A貯水池内地すべり対策工の押え盛土材、B付け替え道路の路体盛土材、C貯水池に流入する沢
水の水質改善対策などに利用され、コスト縮減や環境保全の向上対策が図られています。
ダム工事は、平成14年2月22日より開始され、現在は洪水吐きがほぼ完成し河床部の盛り立てを行なっている最中でした。
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堤体左岸より右岸を望む
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堤体盛り立ての進捗状況は6月1日現在で10.6%であり、平成21年の完成に向けて、北海道の特色である冬場を避けた短い施工期間でいかに早く工事工程を短縮させるかが課題とのことでした。
留萌ダム建設において着目すべき点は、環境への配慮であり、ゼロエミッションを目指したリサイクル対策や留萌ダム共同企業体事務所におけるバイオトイレの採用、ビオトープ工法による樹林の復元など、「地球環境の環境保全と北の大地の自然を守ることの重要性を認識し、すべての活動において環境負荷を低減するため、環境マネジメントシステムを構築・運用し、継続的改善を行い環境保全に貢献すること」を基本方針としてダム建設に取り組んでいることです。現地においても、無駄な伐採や切土面が少なく、自然環境に対して十分な配慮がなされていることが伺えました。
最後に、本見学会で案内・説明および質疑応答に対応していただいた北海道開発局留萌開発建設部ならびに留萌ダム堤体建設工事共同企業体の関係各位および見学会の企画・運営に尽力されたダム工学会現地見学小委員会の皆様に厚く御礼申し上げます。
(日本工営株式会社 松原孝司)
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