一般社団法人ダム工学会
 
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行事報告

広神ダム及び東竹沢地区河道閉塞対策工事見学記

 

 

 ダム工学会主催の第29回ダム現地見学会が松本徳久団長のもと10月13日〜14日の2日間にわたり開催されました。今回の見学会のうち2日目に見学した広神ダム及び昨年10月23日に発生した新潟県中越地震で甚大な被害を受けた旧山古志村東竹沢地区芋川河道閉塞部の復旧工事について報告します。
 
1.広神ダム
 広神ダムは、一級河川信濃川水系破間川支川和田川の新潟県魚沼市(旧広神村)小平尾地内に建設されている洪水調節、流水の正常な機能維持及び発電を目的とした多目的ダムです。ダム型式は重力式コンクリートダムで堤高80.5m,堤頂長225.0m,堤体積314,000m3、総貯水量1,240万m3です。

 堤体コンクリート打設方式は、拡張レヤ工法(ELCM)を採用し、堤内へ
のコンクリートの運搬は、15.5t固定式ケーブルクレーンを用いて行っていました。見学時、現場は打設終了後で施工標高的にも打設面が広く非常にスッキリとした印象を受けました。
 ダム工事は、平成16年6月1日からコンクリート打設を開始しましたが、平成16年7月17日、平成17年6月28日及び平成17年8月13日の3回の水害と平成16年10月23日の新潟県中越地震に見舞われ工事に多大な被害を与えました。

写真−1 広神ダム堤体

(左岸上流より望む)

震災に対しては震源とされる断層から4qしか離れておらず、施工中の被災にもかかわらず、一部工事用道路の法面崩壊や仮設モルタル吹付けのクラック発生程度の被害のみで人的な被害や堤体への影響も無かったことは不幸中の幸いと思います。しかしながら震災による工事の中断や水害によって、予定工期に比べ数ヶ月遅れているとのこと、ダム建設課及びJVを中心とした工期の改善に向けての鋭意努力が報われることをお祈りするとともに工期中の無事故無災害を心から願います。

2.東竹沢地区河道閉塞部及び中山随道
 広神ダム見学の後、今回の震災で最も被害の大きかった旧山古志村の災害復旧現場へと向かいました。旧山古志村には広神ダムから国道219号線で新中山トンネルを経由して入ります。新中山トンネルの横に山古志村小松倉集落の人々が長年の年月を掛けて手掘りで施工した「中山随道」があり、坑内を見学しました。「中山随道」については、前日(13日)の宿舎で同随道のドキュメンタリー映画「掘るまいか」を鑑賞し、映画の監修に携われた山岸氏より随道及び映画製作にあたっての大変貴重なお話をうかがった後での見学で、「土木屋」として公共事業の必要性を感じるとともに施工当時の関係者の多大な御苦労に敬意を表したい気持ちになりました。
 新中山トンネルを抜けると旧山古志村に入ります。復旧工事の進捗の差もあるとは思いますが、トンネル1本隔てた広神村と山古志村で被害規模の違いに驚くとともに「中山随道」を手がけた山古志村の人々の生活を一瞬にして一変させた自然の猛威に恐怖を感じました。
 震災復旧現場として東竹沢地区の芋川河道閉塞部の復旧工事を見学しました。芋川は、震災によって52箇所の河道閉塞が生じそのうち寺野地区と並び規模が大きかったのが東竹沢地区で、震災直後にテレビ等を通じ旧小学校の体育館内に多くの排水パイプが配管されたショッキングな映像が見られたところです。現在では、排水路が完成し、体育館も撤去されて砂防えん堤工事が着々と行われており当時の面影は薄れていますが、河道閉塞を起こした左岸地滑り部(幅300m、深さ30m)をみるとその規模の大きさに驚かされました。また、国土交通省湯沢砂防事務所の方々から、報道機関では報道されていないような震災直後の苦労話をうかがい敬意を表するとともに1日も早い復旧を心から願います。
 

写真−2 中山隋道入口部

写真−3 東竹沢地区右岸地すべり部復旧工事状況


3.おわりに
 最後に本見学会で案内、説明及び質疑応答に対応して頂いた新潟県魚沼地域振興局地域整備部ダム建設課、広神ダム特定建設共同企業体、国土交通省北陸地方整備局湯沢砂防事務所の関係各位及び見学会を企画して頂きました松本団長と現地見学会事務局の方々に深くお礼申し上げます。

(轄ヲr組 藤井 誠) 

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