一般社団法人ダム工学会
 
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行事報告

☆ 奥裾花ダム・裾花ダム 見学記 ☆

 

1.はじめに

 見学会2日目(平成24年10月26日)は、長野県建設部裾花ダム管理事務所が管理している奥裾花ダムと裾花ダムへ行きました。長野駅近傍の宿泊先を朝9時40分に出発し、バスで30分後には裾花ダムを通り過ぎ、約1時間後に奥裾花ダムに到着しました。このことからも、これら2つのダムが長野市街地からとても近い位置にあることがわかります。

 裾花ダム(昭和45年完成)、奥裾花ダム(昭和54年完成)は、昭和24年9月の300mm/24hという大雨により、県庁付近の堤防が決壊し長野駅まで水が及んだ大水害を機に抜本的な治水対策として建設されたものです。正式には「裾花川上流総合開発事業」の一環として、洪水調節を主な目的とし、併せて上水道供給及び発電を行う多目的ダムとして建設されています。


2.奥裾花ダム

 写真1、2に紅葉に埋もれる奥裾花ダムとダム管理事務所を紹介します。
写真1 奥裾花ダム全景
写真2 奥裾花ダム管理事務所

 奥裾花ダムは、重力式コンクリートダム型式で堤高59m、堤頂長170m、堤体積152,000m3、湛水面積0.3km2のダムです。ダム管理事務所の操作室は、主に雨量局、水位局、放流警報局から構成され、地震観測なども行われており、下流の裾花ダムの管理事務所も同様となっています。(写真3参照) 奥裾花ダムや裾花ダムの地質は、この地帯の代表的な岩盤である凝灰岩や安山岩から成り、透水性は低く漏水はないものの、地すべりなどが発生しやすく堆砂が一つの大きな問題となっています。(写真4参照)

写真3 ダム管理事務所操作室
写真4 凝灰質集塊岩の露頭

 現時点で奥裾花ダムは計画堆砂量の125%、裾花ダムで94%に達しており、堆砂バイパスなど対策を検討しており、施設の老朽化による維持修繕対策とともに早急に解決しなければならない問題となっています。
 なお見学会の一行は、日本百景の一つに選ばれている奥裾花ダムの紅葉を見ながらの昼食という、主催者の粋な計らいのもと2つ目の目的地へ向かいました。

3.裾花ダム

 2つ目の見学地である裾花ダムは、アーチ式コンクリートダム型式で堤高83m、堤頂長211m、堤体積119,864m3、湛水面積0.578km2のダムです。
写真5に右岸側から望む裾花ダムを紹介します。

写真5 右岸から望む裾花ダム
 
 このクラスのダムが長野市街地から車で30分内に存在することも驚きですが、これらのダム構築により、平成7年7月の梅雨前線豪雨に始まり確実に洪水調整機能を果たし、40万人規模の大都市の防災に貢献しているダムの素晴らしさを実感することができました。操作室に展示されていた生々しい洪水調節図の記録を写真6に示します。
 最後にアーチダムのキャットウォークを歩き維持管理の大変さを体感させて頂き、充実した見学会は閉会となりました。(写真7参照)
 大変丁寧に現場をご紹介して頂きました長野県建設部裾花ダム管理事務所の皆様方に厚く御礼申し上げます。

写真6 平成7年の洪水調節図
写真7 CWを歩く一行

 [(株)間組 山本 弘之]

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