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行事報告
1.はじめに
見学会2日目(平成25年10月4日)は、東京電力株式会社 松本電力所が管理している奈川渡(ながわど)ダム、水殿(みどの)ダム、稲核(いねこき)ダムを見学させて頂きました。
上記3ダムは長野県松本市を流下する信濃川水系梓川に建設されたアーチダムであり、それぞれのダムには、安曇・水殿・竜島および稲核発電所があります。本見学会では、各ダムの概要についてご説明いただきましたので、そのご報告をさせていただきます。
表1 各ダムの概要 |
ダム名 |
奈川渡ダム |
水殿ダム |
稲核ダム |
形式 |
コンクリートアーチ |
コンクリートアーチ |
コンクリートアーチ |
堤高(m) |
155.0 |
95.5 |
60.0 |
堤頂長(m) |
355.5 |
343.3 |
192.8 |
総貯水量(m3) |
123,000,000 |
15,100,000 |
10,700,000 |
発電所名 |
安曇発電所 |
水殿発電所 |
竜島発電所 |
稲核発電所 |
運転開始年 |
昭和44年 |
昭和44年 |
昭和44年 |
平成11年 |
認可出力(kW) |
623,000 |
245,000 |
32,000 |
510 |
最大使用水量(m3/s) |
540.0 |
360.0 |
54.0 |
1.64 |
有効落差(m) |
135.78(134.86)※ |
79.78 |
71.02 |
41.33 |
ダム位置図 |
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※有効落差:発電機が全部で6機あり、1・2号機;135.78m,3〜6号機;134.86mである。 |
2.奈川渡ダム
奈川渡ダムは、ダム堤頂が国道となっています。近傍には上高地等の観光名所が多数あるため、ダム堤頂(国道)の交通量(特にバス)は多く、このようなダムを見るのは初めてでした。
ダム見学では、発電所内やダムの諸測定設備を見学させていただきました。発電所は国道の近くに建設されたため、多くの見学者が訪問されることを想定し、内装はタイル張り等で綺麗な色調になっていました。
また、ダムでは漏水量(三角堰)、変位量(プラムライン)、揚圧力(圧力計)の3種類を計測していました。通常は毎日、自動計測が実施されていますが、25gal以上の地震が発生した場合は、緊急点検が実施され、漏水量、変位量、揚圧力を即座に測定し、河川管理者に報告しているそうです。なお、地震で電源が喪失した場合も、測定設備は人力で計測ができるようなっていました。
このように適切な測定を行い、維持管理していくことは地震や台風、異常気象等による被害の防止・軽減に繋がる、とても重要な役割を担っていると実感しました。
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写真1 奈川渡ダム全景 |
写真2 安曇発電所内 |
3.水殿ダム
水殿ダムでは、昭和44年にダム湖内にコンクリート供試体が暴露されています。これは、コンクリートの凍害による経年劣化を把握するために設置されています。コンクリートの配合は様々で、実際に使用したダムコンクリートの配合を基本に水セメント比やフライアッシュ置換率等を変化させた11種類の供試体が設置されていました。このような、暴露試験は全国の一部のダムでも実施されていますが、水殿ダムの暴露環境は気温こそ最低ではないものの、凍結融解回数(昨年度は88回)が全国で一番と非常に過酷な環境下にあります。しかしながら、ダムコンクリートと同じ配合の供試体は凍害の影響をほとんど受けず、外観もスケーリングが無く、健全に保たれていました。
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W/C:49%
フライアッシュ置換率:25%
AE剤有り
※ダムコンクリートと同配合 |
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W/C:110%
フライアッシュ置換率:25%
AE剤有り |
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写真3 暴露試験状況 |
4.稲核ダム
稲核ダムでは、最大出力32,000kWのダム水路式の竜島発電所の他に、ダム直下に最大出力510kWのダム式の稲核発電所があります。稲核発電所は、ダム下流の河川環境を維持するための河川維持流量(1.336m3/s)を利用した発電所であり、貴重な水資源を有効活用した発電所です。
5.おわりに
稲核ダムでは、最大出力32,000kWのダム水路式の竜島発電所の他に、ダム直下に最大出力510kWのダム式の稲核発電所があります。稲核発電所は、ダム下流の河川環境を維持するための河川維持流量(1.336m3/s)を利用した発電所であり、貴重な水資源を有効活用した発電所です。
[(株)開発設計コンサルタント 佐藤孝史]
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