幾春別川総合開発事業は、流域における治水・利水の機能向上を目的とした事業である。新桂沢ダムでは、既往の桂沢ダムを約1.2倍に嵩上げすることで、総貯水容量を1.6倍に増大させて機能向上を図っている。 |
見学に先立って実際に設計・施工に携わった設計者・施工者の方から実務にあたって苦労した点などの説明を受け、さらに見学団団長のダム技術センター元顧問 藤澤様より総括としてダム設計・再生に関するご講演を賜った。 |
設計・施工の説明は、課題に対してどのような考えで対策を行ったかといった内容であった。既設ダムを運用しつつ施工するという複雑な現場条件下で、安全かつ確実に工事を遂行するために、完成までのプロセスを明確にして、課題を抽出し対策していることが説明から理解できた。 |
講演の中では、「ダムの再開発は前例がなく、一から全て考えねばならない。」という言葉が印象に残った。新桂沢ダムもまた、国直轄のダムとして全国初となる、同軸嵩上方式を採用している。この同軸嵩上方式を採用するに至るにも、かなりの経験や知見が必要であることは容易に想像できた。また、「設計」「施工計画」「計画(機能)」「管理(運用)」に至っても同様で、当人の力量が試される内容となっていることは理解できた。ダム再開発事業を行う人材は、ダム新設の設計・施工計画に携わった経験があることが最低条件である。と説明の中にあったのも納得できた。 |
私事になるが、現職に配属される前は九州で保守業務に携わっており、鶴田ダム再開発事業も間近に見る機会があった。見学会で新桂沢ダム(写真-2)を見た時も思ったが、やはり大きい現場は格好いい。私自身、シビルエンジニアになったからには、形になるモノをつくりたいという強い思いがある。今回の見学会では、自身の思いを成しえるためには、今後どのような経験を積めばよいか、改めて確認することができた。 |