会長挨拶
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平成23年度
一般社団法人ダム工学会 会長
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本庄 正史 (ほんじょう まさし)
株式会社大林組 取締役
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会長あいさつ
先ずは、3月11日に発生いたしました東日本大震災におきまして、被災された地域の皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
このたび、通常総会において一般社団法人ダム工学会の第18代会長にご推挙いただき、身に余る光栄と存じますと共にその責任の重さを痛感しております。
ダム工学会の沿革を簡単に振り返ってみますと、平成2年9月ダム工学研究会として発足いたしました。平成5年に日本学術会議法に基づく学術研究団体として認可され、平成6年に第4回通常総会において「ダム工学会」に改称し、平成21年11月に一般社団法人ダム工学会が設立されました。昨年は創立20周年を迎え、20周年記念シンポジウム、4夜にわたる“with
Dam Night”等、各種記念行事が執り行われました。本年は20年という節目からの新しい出発の年としたいと考えております。
ダムが果たしてきた役割について今更説明するまでもなく、その時代その時代の社会的ニーズに合わせ、治水、利水、発電などの効率的な手段として機能してきました。また、長い歴史の中で培われ伝承されてきたダム建設技術は、コンクリート工学、水理学、土質工学等、幅広い土木工学に基づいており、わが国の重要な社会資本となる道路、トンネル、橋梁等に応用され、建設技術向上に大きく貢献してきました。
しかしながら1990年以降、ダム事業を巡る社会的視点は激変しました。大規模公共事業に伴う社会的、環境的、経済的要因等によりダム事業を取り巻く環境は厳しいものとなり、一般の方々のダムに対する認識も誤解を含め変化してきました。
ダムの役割、効果等ダムに関する情報を、一般の方々に「正確に」「分かりやすく」「地道に」情報発信することこそ、ダム技術者にとっての喫緊の課題であると考えています。
気象庁の観測統計によれば、降雨強度80o以上の年間平均発生回数は年々増加してきており、1976年〜1986年の9.8回に対し、1998年〜2009年は18回(80%増)と集中豪雨が増加傾向にある。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告によると、年間の降雨量は将来減少すると予想されているが、集中豪雨のような極端な大雨の頻度は将来も増加する可能性が高いと予想され、降雨パターンの変化を予想しています。今後、治水面からもまた利水面からもダムの重要性が再認識されると確信しております。
食料自給率(カロリーベース)約40%の日本はバーチャルウォーターの輸入を通じ、海外の水に依存しており、世界の水問題に無関心ではおれません。
世界の急激な人口増加による水不足は深刻化してきており、早急な水資源開発が叫ばれている状況下、日本の優秀な技術を活用しその問題解決のため国際貢献することが重要であると思っています。
ダム工学会は研究活動として部会において学術研究を行なっており、学会誌「ダム工学」を発刊しております。また行事活動として現地見学会、若手の会、ダムなんでも相談室等広範に活動しております。今年度はダムの計測管理に関する研究を行なう趣旨で、調査研究委員会のもとに「計測管理研究部会」を新設いたします。また、20周年記念事業として好評であった“with
Dam Night”を東京及び中部近畿ブロックにおいて開催いたします。これらの活動を有機的に結び付け、また、他学会との連携を図り、活性化充実化を図りたいと考えています。
また、減少傾向にある会員数確保のため、退会者抑制、入会促進のためのあらゆる課題に全力で取り組みたいと考えております。 ダム工学会発展のため微力ではありますが全力で取り組んでいきたいと思っておりますので、会員の皆様の格別のご支援ご協力をお願い申し上げ、会長就任の挨拶といたします。
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