一般社団法人ダム工学会
 
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会長挨拶

 

平成22年度 ダム工学会 会長

入江 洋樹 (いりえ ひろき)

財団法人ダム技術センター 研究顧問


会長あいさつ

 このたび、通常総会において、一般社団法人ダム工学会の第17代会長に推挙いただき、身に余る光栄に存じますともに、その重大な使命と責任を痛感しております。平成22年度は、平成2年9月の創立以来、ダム工学会の創立20周年に当たる年度でありますので、年末には20周年記念シンポジウムの実施を予定するなど、種々の記念事業を行い充実した一年にしたいと考えております。
 近年、「コンクリートから人へ」というキャッチコピーをはじめとして、ダムに対する風当たりは非常に厳しいものがあります。その中には、正確な情報を欠いたものや誤解に基づいたものが多く見られます。ダム工学会としては、学術的研究の公開のみならず、科学的知見に基づいた正確な情報を折に触れて発信していく重要性を感じています。
 ダム工学会では、15周年事業として、「ダムが語る1000年物語」という提言をまとめました。ダムには、狭山池や満濃池のように、1000年以上にわたって現役として活躍しているダムがあります。この提言は、農業用水、水道用水、工業用水の供給や発電などの利水目的や洪水調節のような治水目的について、長い間ダムが果たしてきた貴重な役割を述べるとともに、現状のダムの抱える課題を克服し、将来にわたる地球温暖化をはじめとする世界の水問題に対処するため、ダムを1000年以上にわたって長期間機能させていく技術を開発するとともに今後の方向性を述べたものであります。
 日本の治水事業は、河川の拡幅をはじめとする河道改修を中心として進めてきましたが、明治以降の急激な人口の増加により、次第に河川の拡幅が難しくなってきました。日本は国土が小さく、山が急峻であり、洪水の流出が速く、洪水波形がシャープであります。大正時代に、東京大学の物部博士が、シャープな洪水波形をダムによりピークカットを行うことが効果的であると提言されたわけであります。したがって、治水計画の策定に当たっては、河道とダムや遊水地などの貯水施設をバランスよく配置することが重要です。現在の日本の治水安全度は、100年〜200年に一度の安全度を目指していますが、これは欧米先進諸国と比べても低く、しかも達成するためには、今後かなりの施設整備が必要な状況にあります。
 利水面では、我が国は10年に一度の渇水を目標として計画されていますが、古いダムによっては、戦後の急激な経済成長に対応するため、より低い安全度で計画されたものがあり、渇水に対しては脆弱であります。アメリカの利水計画の安全度は、アメリカの水道協会によると、20年に一度の安全度に25%の貯水容量の余裕を見込むこととしています。現在、カリフォルニア州では、2007年からの長期にわたる渇水を経験していますが、高い利水安全度により、節水によって凌ぐことが出来ています。
 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書をはじめとする種々の研究機関の調査結果によると、今後は、強い雨の日数や他方雨の降らない日数が増加すると予測されるなど、治水利水面にわたって一段と厳しい状況が予測されています。このような地球温暖化による厳しい気象条件の変化に対応する適応策が、今後研究されていくことになると思いますが、その中でダムの役割も重要であると思われます。
 国連開発計画(UNDP)の人間開発報告書2006によりますと、2050年には、水不足の人口が約14億人、水ストレスを感じる人口が約40億人に達するとされています。世界の膨大な人口増に対する早急な水資源開発の必要性が叫ばれています。我が国においても、今まで培ってきた優れた技術を活用して、積極的な国際貢献を図っていく必要があると思います。
 ダム工学会としましては、現状におけるニーズや将来の地球温暖化、世界の人口増等に対処するため、ダムに関する学術研究の実施、交流、広報等について取り組んでまいりたいと思っています。現在、学会活動としましては、研究発表会、学会誌「ダム工学」の発刊、6研究部会の活動、講演会や見学会の実施、ダムの広報活動等、多様な事業を行っています。また、地域の活動として、講演会、見学会、若手の会の実施、若手の活動として、語り部の会、若手の会の実施など広範な事業を実施しています。これらの事業を有機的に結び付けることによって、学会活動の活性化を図っていきたいと考えています。
 ダム工学会の発展のため、微力を尽くしたい思っていますので、会員の皆様の格別のご支援とご協力とお願い申し上げ、会長就任のご挨拶とします。


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